従来SAPシステムにおいて、ホスト名、SID、インスタンス番号を変更する場合には
システムコピーによる再セットアップの必要がありました。
Software Logstics Toolset の中にSystem Rename というツールがあり、
これを使うとシステムコピーをすることなく簡単にこれらの情報を変更することができます。
応用として仮想環境のテンプレートからのプロビジョニングなどにも有効に活用できると思います。
System RenameはSAP Service Marketplaceのエイリアスsltoolsetから入手します。
以下URLよりdownloadに飛び、該当するOSプラットフォームのツールをダウンロードします。
http://service.sap.com/sltoolset
試しに、セントラル構成のSAP ERP 6.0 EHP6 on Windows Server 2012 / MS SQL Server 2012環境で
以下のようにSIDだけを変更してみました。
ソースシステム
- ホスト名: saperpfj1
- SID: FJ1
- インスタンス番号: 00
ターゲットシステム
- ホスト名: saperpfj1
- SID: FJX
- インスタンス番号: 00
ダウンロードしたSystem RenameをSAPCARで解凍し、sapinst.exeを実行します。
なお、SAPシステムは動いていても構いません。System Rename処理の最初のフェーズで停止してくれます。
System Renameはセントラル構成、分散構成を対象としていますが、ダイアログインスタンス(DI)だけは変更対象外で、
もし分散構成でDIがある場合はあらかじめアンインストールしておく必要があります。
データベースインスタンスおよびセントラルインスタンス(CI)をリネームしたあとにDIは通常の追加インストールを実施します。
ここではセントラル構成なので、System Ranem -> Central System -> SAP System Ranemを選択し先へ進みます。
ソースシステムのSIDと、ターゲットシステムのSID、SAP Global Hostを聞かれます。
必要事項を入力して先へ進みます。
ソースシステムのインスタンスプロファイル、インスタンス番号、ホスト名および
ターゲットシステムのホスト名が正しく入力されているか確認して先へ進みます。
デフォルトで値が入力されていますがインスタンス番号を変更する場合はここで修正します。
SAPインスタンスが接続するSQL Serverインスタンスを聞かれます。
ターゲットホストのローカルインスタンスが選択されていることを確認し先へ進みます。
ソースシステムおよびターゲットシステムのデータベース名(DBSID)が正しいか確認して先へ進みます。
この後は、Windows Domain、OSユーザーのパスワード、データベーススキーマユーザー(dbsid)のパスワード、
SAPシステムが使用するFQDNを聞かれるので必要事項を入力もしくは確認し先へ進みます。
最後に、Syatem Renameの一環でライセンス登録もしてくれるのであらかじめライセンスキーを手配して場合は
ライセンスキーファイルの格納場所を指定します。指定しない場合はテンポラリーライセンスキーが登録されます。
入力事項を確認しSystem Renameを実行します。
以下の30ステップの処理が行われます。
「Move MS SQL Server objects from one schema to another」のフェーズに多少時間がかかりますが
1時間弱ですべての処理が完了するはずです。
SAPプロファイル名、
データベースファイルのディレクトリ名、データベースファイル名、
サービス名、ユーザー名などどれも正しくターゲットシステムに変更されソースシステムのものが
なくなっていることが分かります。
ちなみにActive Directory上のソースシステムのユーザー・グループは削除されないようです。