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はじめに、本ブログはこちらのブログの日本語版になります。SAP BWの移行ついて最新化への複数のオプションを解説しています。

 

オンプレミスのSAP BWからSAP Datasphereへの移行について気になるお客様は多いと思いますが、このブログではさまざまなモダナイゼーションアプローチを紹介しそれぞれの違いについてを解説します。

まず、当社の方向性について簡単に説明します。

SAP Datasphereは、パブリッククラウドにおけるすべてのデータウェアハウスとデータマネジメントのユースケースを対象としたSAPの戦略的ターゲットソリューションです。

クラウドシフトに伴い、従来のSAP BWのオンプレミスソリューションから移行することになります。

SAP BWからの投資を保持する場合は、SAP BW bridgeによるツールを利用した移行により引き続き既存の資産やスキルを活用することができます。

SAP DatasphereはRISE & GROW with SAPの戦略を完全にサポートしており、90日間のトライアルオプションを提供しています。当社の強力なSAPパートナーネットワークが、オンプレミスからクラウドソリューションへの移行を支援します。


SAP のデータウェアハウス - 方向性1


 

オンプレミスのお客様の移行を容易にするため、RISE with SAPではパブリッククラウドだけでなくプライベートクラウドのオプションも提供しており、お客様のビジネスニーズに適したテクノロジー選択を可能にしています。

SAP Datasphereは、最新のベストプラクティスと継続的なイノベーションがすぐに利用できるクラウドアプリケーションですが、SAP BW/4HANA Cloud, private editionは、お客様独自の変革ニーズに適応できるよう、顧客に合わせてカスタマイズできるクラウド製品です。

SAP S/4HANA Cloudに移行するSAP ERPのお客様(当社の「RISE with SAP」戦略を活用)は、オンプレミスのSAP BWデプロイメントの方法を検討する必要があります。一部の業務レポート/分析ワークフローはSAP S/4HANA Cloudに移行できます(Embedded Analyticsによってカバー) が多くの場合、網羅的なデータとその分析機能 (データウェアハウス機能) の必要性は残ります。

お客様がSAP Datasphereを使用して最新のビジネスデータファブリックに移行できるように、SAPはいくつかのイノベーション・ジャーニー・パスをサポートしています。
- 特にSAP BWのサポートが終了することを考慮しています。例えばSAP BWからSAP BW/4HANAに移行するプロジェクトに既に投資しているお客様は、全ての機能がサポートされる製品バージョンへの移行パスは継続する必要があります。

その後に、SAP Datasphereに直接移行するか、追加利用するだけでハイブリッドシナリオでのイノベーション、オープン性、およびセルフサービス機能によってビジネスウェアハウスのデプロイメントを拡張することができます。以降、ワークロードはSAP Datasphereにますますシフトし、お客様はSAP BW bridgeコンポーネントを利用したツールベースでの移行やBWオブジェクトを統合して再利用したり、アクセラレータとしてBW/4HANAビジネスコンテンツを含めてBWベースのデータ収集機能およびステージング機能を活用することができるようになります。

バージョンによっては、BWシステムをSAP Datasphereに直接移行できます。これは、BWを活用していないBusiness Suiteのお客様にも推奨されるソリューションです。

お客様が最初にどのパスを選択していても、技術的(BW bridgeによるツールベースの移行)にも、コマーシャル的(プライベートクラウドサブスクリプションはパブリッククラウドサブスクリプションに変換が可能)にも、SAP Datasphereに進むことができます。


SAP のデータウェアハウス - 方向性2


 

なぜモダナイゼーションが必要なのか

先に述べたように、SAP DatasphereはSAPの戦略的ターゲットソリューションであり、SAP BWおよびSAP BW/4HANAの後継です。SAP Datasphereへの移行に関しては、以前のような単純なデータウェアハウスの移行ではないことを理解することが重要です。むしろ、データウェアハウスアーキテクチャのモダナイゼーションについて検討する必要があります。

どのデータウェアハウスアーキテクチャが適しているのかを判断するには、従来のSAP BWに格納されているデータの理解が必須です。主に既存データの分類に関することです。これらは以下図の3 つのサブ領域に分けることができます。一方で、常に財務諸表関連のデータがあり、これらはほとんどの場合、今年度と前年度のデータになります。アクティブステージングデータは定期的に更新されるデータで、例えば過去3~5年程度をカバーしていますが、データベースのほとんどはレガシー関連のデータであり、法的要件によりデータは利用可能な状態ではありますが実際にそれを利用することは非常に稀です。


データモデルの枠を超えたデータの理解


 

SAP BWの世界では、明確なデータ分類コンセプトがなくても、すべてのデータがオンプレミスで一元的に保存されていました。それが可能だったのはリソース間の関連付けがなかったためです。

一部のお客様では、SAP IQ をコールドデータストレージとして活用することで、データ戦略に向けた第一歩を踏み出しました。しかし、小規模なお客様にとっては、コストと労力がベネフィットを上回るため、有効ではありませんでした。

パブリッククラウド戦略ではデータの分類が必要になります。クラウドリソースはハイパースケーラーの製品に依存しデータフットプリントのコストが考慮すべき重要な要素になるためです。


SAP BW に基づいたデータ戦略


 

移行オプションの検討

それでは、SAP Datasphereに移行するためのオプションについてさらに詳しく説明します。先に述べたように、従来のような単純な移行ではなくモダナイゼーションアプローチについて検討していきます。

まず1つ目は、現在のSAP BWデータモデルが古く、新しいアーキテクチャに取り入れる価値がないため、SAP Datasphereで完全に新規で始めるオプションです。これは、レガシーデプロイメント/アプローチの制約を一切受けずにビジネスデータファブリックを構築するということです。モダナイゼーションとシンプル化されたデータランドスケープに完全にフォーカスできます。

2つ目は、BW bridgeを利用して従来のSAP BWテクノロジーで、データの変換、パーティショニングによるデータローディングの管理、モニタリング、エラー処理など、カスタマイズした機能をすべて備えたレガシーデータ用の共通データレイヤーを開発して、グリーンフィールドから始めることです。実績のあるSAP BW機能と最新のクラウドアーキテクチャを組み合わせて、ビジネスウェアハウスを次のレベルに引き上げます。

3つ目は、SAP BW/4HANAの既存のデータモデルをSAP Datasphereと組み合わせて新しいユースケースの導入を段階的に実施します。SAP DatasphereのエンティティインポートまたはSAP BW/4HANAのモデルインポートで、SAP BWアーティファクトおよびクエリに基づいて、データビルダで新しい分析モデルを自動的に生成します。ディメンションやコンサンプションなどのビジネスレイヤーアーティファクトもオプションで生成できます。

4つ目に、これまでの投資とスキルの確保に関しては、SAP DatasphereのSAP BW bridgeでSAP BWのモデルとクエリを、ツールベースの変換を利用してSAP BW bridgeに移動することができます。

前述のとおり、SAP Datasphereのエンティティインポート for SAP BW bridgeでは、データビルダで新しい分析モデルが自動的に作成されます。BW/4HANAモデルのインポートと比較すると、SAP BW bridgeやSAP Datasphereのアーキテクチャアプローチ向けの複合プロバイダを解決します。

最後に紹介するオプションは、データモデルをSAP BW/4HANAからリリースし、Datasphere向けに引き継ぎたいお客様を対象としています。

はじめのステップとして、SAP BW/4HANA HybridをSAP Datasphereで利用できます。オプション 3で説明した利点に加えて、ソースシステムとしてのSAP BW/4HANAとターゲットシステムとしてのSAP BW bridgeの間で同期オプションを使用することができます。

これにより、最後のデータモデルがSAP BW bridgeおよびSAP Datasphereに転送されるまで、データモデルの同期を維持することができます。その後、SAP BW/4HANAの古いデータフローをレポートから削除することができます。


移行のオプション


 

詳細をもう少し掘り下げて、ビッグバンアプローチとSAP Datasphereへの段階的移行の両方を見ていきます。

ビッグバンとは、SAP BWに関連するデータフローをパブリッククラウドやSAPの戦略的ターゲットソリューションであるSAP Datasphereに直接移行することです。もちろん、これは既存のデータモデルをすべて採用しなければならないということではありません。シェル変換を使用して、SAP BWコンテキストから「スコープ」を移行します。スコープには様々なアイテムを含めることができ、個々のデータフロー単位で含めることもできます。

2027年のSAP BW保守終了までの残り時間を活用して、その間に使用されているすべてのデータフローをSAP BW bridgeへ移動し、SAP Datasphereのエンティティインポートを使用してクエリレイヤを最新化します。SAP DatasphereのSAP BW bridgeスペースは、SAPから自動的に提供され、すべてのSAP BW bridge関連データモデルの受信スペースとして機能します。

モデルのインポートにより、すべてのBW複合プロバイダにリモートテーブルが登録され、マスタデータとともに割り当てられるインフォオブジェクトのリモートテーブルも登録されます。さらに、分析データセットにはすべてのプロバイダが結合された複合プロバイダが反映されます。新しいクエリアーティファクトは分析モデルで、これはSAP Analytics Cloudでのレポート作成に使用されます。

 

ビッグバン


ビッグバン


 

段階的な移行

多くのお客様はすべての企業データをパブリッククラウドに保存できるわけではなく、アドオンやハイブリッドモデルなど従来のSAP BW機能が依然として必要であるという課題に直面しています。

この場合、段階的な移行が可能です。既にアナウンスしている通り、SAPはSAP BW/4HANAのサポートを2040年まで提供します。現在、2 年ごとに新しい製品バージョンの提供を計画しており、今年はSAP BW/4HANA 2023がリリース済みです。

はじめのステップとしてSAP BW/4HANAへの移行を決定したお客様は、SAP Datasphereとのハイブリッドシナリオから開始し、SAP BW bridgeがない場合でもSAP Datasphereにデータモデルをインポートすることができます。

特に、すでにSAP BW/4HANAに移行しているか、または現在移行を計画している場合は、送信側としてのSAP BW/4HANAと、ターゲットシステムとしてのSAP BW bridge間のメタデータの簡易同期オプションが提供されます。

SAP BW bridgeはSAP BW/4HANAと同じコードラインに基づいているため、非常に簡単に組み合わせることができます。

つまり、自分のペースでデータモデルをSAP BW/4HANAから徐々に削除し、SAP BW bridgeに転送することができます。同期オプションを使用すると、後でSAP BW/4HANAの元のデータフローの変更を実装する必要がある場合に、ターゲットシステムでデータモデルを上書きすることができます。

各データモデルが完全に取り込まれ、同期が保たれるとSAP BW/4HANAのオリジナルデータフローをオフに切り替えることができ、各レポートのデータ供給はSAP DatasphereとSAP BW bridgeを介して行われるようになります。


段階的な移行


 

SAP BWが複雑となる要因

先に述べたように、データウェアハウスアーキテクチャの最新化については、複雑さの要因を理解することが重要です。

複雑なSAP BWアーキテクチャを見ると、要因を特定しやすくなります。以下の6つのBW機能により、アーキテクチャが複雑になっています。

  1. OLAPエンジンに基づくSAP BWクエリ

  2. 非ODPソース

  3. Open Hubs

  4. APD

  5. BPCやBCSなどのアドオン

  6. 混合モデリング


すべてのお客様は、OLAPエンジンに基づく従来のSAP BWクエリを使用しています。これがSAP Datasphereで変更されます。

SAP Datasphereは、複数のソースとレイヤからのデータを結合するセマンティックレイヤであり、OLAPクエリと同じ機能をカバーします。

多くのクエリ機能はすでに実装されていますが、一部はロードマップ項目としてリストアップ中です。

SAP BW bridgeは、SAP ECCやS/4HANAなどのSAP関連ソースの取り込み/ステージングレイヤです。この点について重要なのは、他のすべてのソースをSAP Datasphere - コアに移行する必要があるということです。

SAP Datasphereには、SAP BWよりも多くのデータソースタイプがあります。SAP BWで使用可能であったすべてのデータソースは、SAPDatasphere でも同様に使用できます。

従来のSAP BWは、多くの場合、企業データの送信に使用されます。オープンハブを使用して、CSVファイルが他の対象システムに送信されます。SAP Datasphereでは、API を介して他のターゲットシステムにデータにアクセスできるようにすることができます。

通常、アナリシスプロセスデザイナ (APD) は、会社のシステム内のさまざまなデータベースのデータ間の隠れた関係または複雑な関係を発見および特定するために使用されます。分析結果はBWデータターゲットに保存されます。SAP BW/4HANAには、データフローオブジェクトへの変換オプションが用意されています。SAP Datasphereでは、データフローアーティファクト (マニュアル) を使用して分析プロセスを最新化するオプションがあります。

最新化アプローチにおけるもう1つの推進要因は、SAP BWで使用されていた従来のアドオン (計画用のBPCや連結用のSEM-BCSなど) です。SAP BWアドオンは​SAP Datasphereまたは SAP BW bridgeではサポートされていません。

SAP BCSの後継はS/4HANA Group Reportingで、SAP BPCの後継はSAP Analytics Cloud Planningになります。

SAP BW/4HANAでは、連結アドオン (SAP BCS4/HANA) がサポートされ、SAP BCSはSAP S/4HANAの保守方針に準拠します。

最後の課題は、混合モデリングです。SAP HANAオンプレミスはXSクラシックに基づいていますが、SAP Datasphereの基盤となるSAP HANA CloudエンジンはXSアドバンスト (XSA) に基づいています。

この課題のため、現時点では移行は提供できません。


SAP BW が複雑となる要因


 

今年のDevtoberfestでは、SAP の戦略であるBW MOVEについて詳しく説明します。

どちらのセッションも 2023年10月12日に実施しており、以下のリンクから確認できます。

BW MOVE: Explore Your Modernization options

Conversion Deep Dive to SAP Datasphere

 

BW MOVEまたはSAP Datasphereへの移行についてより詳細な質問がある場合は、ご連絡ください。