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SAP S/4HANA会計文脈での拡張ユースケースのご紹介 – BPマスター登録業務におけるSAP Business Technology Platformの活用アイデア –
今回は弊社の拡張開発基盤であるSAP Business Technology Platform (SAP BTP) の活用法を紹介する第二弾のブログです。第一弾の固定資産の棚卸をサポートするシナリオについてもこちらでご紹介しておりますので、併せてご参照ください。今回のブログは、事業会社の業革のプロジェクトメンバーの方やIT部門の皆様、あるいはSAPの導入に携わるITコンサルタントの皆様に向けて業務視点でのSAP BTP活用のメリットをお伝えする目的で作成しています。
もくじ
1. BPマスター登録におけるSAP BTP活用シナリオのご紹介
2. SAP BTPがBPマスター登録業務にもたらす価値とは
3. シナリオの詳細
4. むすびに
1. BPマスター登録におけるBTP活用シナリオのご紹介
SAP Business Technology Platformのご活用提案に関するブログの第二弾です。SAP BTPを活用することで、どのように効率的な業務を行うことができるのか、一例をご紹介する目的で本ブログを作成しました。今回ご紹介させていただくSAP BTP活用シナリオはSAP S/4HANAでの取引先マスター登録の効率化シナリオです。SAP S/4HANAの取引先マスターはBP(Business Partner)マスターと呼ばれるため、以下からはBPマスターと表記します。SAP BTPを活用することで、従来メールベースでやり取りをしていることの多い、新規取引先登録に際しての部門間の承認プロセスをシステム上で管理できるようなシナリオです。具体的にどのようなプロセスなのか、確認してみます。 ※それぞれの場面で出てくるワークフロー・RPAなどのツールは、要件に合わせて自由に定義できるものになっていますので、あくまでサンプルとしてのご紹介です。
2. SAP BTPがBPマスター登録業務にもたらす価値とは
今回のシナリオの取引先マスターの登録に関して、SAP S/4HANAの標準機能でできることは、
①承認プロセスが終わって内容が確定した後の取引先の情報をマスター登録する
②基本契約書などの文書もBPマスターに紐づけて登録する
の二点です。
今回のシナリオは以下のようなニーズに対応しています。
①マスター登録の件数が多く、マニュアル作業の効率化を行いたい
BPマスター登録に特化した承認プロセス管理プロセスを作ることで、
システムに登録を進めている取引先を一元的に管理できます。
②二重マスター登録を行っていないかのチェックを行いたい
→国税庁の定める各法人に割り振られた法人番号を登録時に入力することで、
一意の取引先を認識できる仕組みで取引先の二重登録を防止することができます。
③プロセスをしっかり管理して、承認前に売掛金を計上しないようにしたい
→基本契約申請の承認プロセスが完了してからマスター登録ができる設計にすることで、
承認前の売掛金計上を防ぐことが可能です。
④業務効率化は行いたいが、現場の声もあり既存の取引先承認プロセスを大幅に変えたくない
→現場の声を尊重した業務プロセスを設計することが可能です。
マスター登録にあたり、エクセルテンプレートを使ったメールを介したやり取りができるような仕様にしました。
⑤マスター登録の承認プロセスを管理したい
→エクセルや紙ベースでの承認のやり取りだと、承認状況が見えにくい課題があります。
システム上で一元的に管理することで、承認プロセスの進捗の可視化をすることができます。
3. シナリオの詳細
今回のシナリオのプロセスを見ていきます。
今回は得意先の取引マスターの新規登録を例にします。新規取引先と取引を開始するにあたり、一般的には二種類の承認プロセスが発生します。1つ目は、基本契約申請の承認プロセスで、もう一つが取引先マスター登録の承認プロセスです。イメージとしては、契約基本申請の承認が完了してから取引先マスターも登録できる順番にすることで、マスター登録プロセスにガバナンスを効かせることができます。
まず、契約基本申請の承認フローをご紹介します。下記のフローが簡略的な基本契約書の社内承認プロセスです。営業部員が得意先とのやり取りで契約書をまとめた後、複数の部門間での承認プロセスが続いています。
【得意先と締結した基本契約書をアップロード】
まず、営業部の担当者Aが、取引先と基本契約を締結した後、文書をシステム上にアップロードし、関連部門の担当者の承認を経ていくプロセスです。
営業担当者Aが承認依頼の処理をすると、経理部の担当者のメールに承認依頼の内容を確認するように連絡が届きます。経理部担当者Bが承認をすると進捗が確認できる画面上では、経理部承認済みのステータスが表示されていることがわかる、といった流れです。以下より、画面イメージを参照しながら説明を進めていきます。
概要画面を見ると、申請ステータスが『営業申請済』になっています。この時点で、ワークフロー上で指定した他部門の担当者に内容の確認依頼のメールが自動で届く仕組みとなっています。
【法務部以降の後続業務フロー】
この業務フローの最後のパートの、IT部門の担当者がRPAでアップロードをする場面は以下の動画にてイメージを持っていただければと思います。
4.むすびに
ここまでブログをお読みいただきありがとうございました!
今回のプロセスのように部門間をまたがるやり取りは認識の齟齬も発生しやすく、日々提案活動を行う中で、一元管理ができる仕組みを作る必要性は高いと感じています。SAP BTPを会計業務の中に組み込んでいただくことにより、ERPを最大限に活用いただき、業務の効率化を図ることが可能です。
SAP BTP活用に関してご興味がございましたら、弊社営業までご連絡いただければより詳細な情報提供をすることも可能です。お気軽にお問合せいただけますと幸いです。