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はじめに


SAP Data Warehouse Cloud(以下DWC)のデータフローでは、グラフィカルなインターフェイスでデータの移動・変換を行うことが可能です。

データフローの構築に接続を使用するために、特定の前提条件が必要になります。

  • クラウドデータ統合ベースの接続を使用するオンプレミスソースまたは SAP クラウドアプリケーションへの接続


→ SAP Cloud Connectorをインストール・設定が必要

  • Amazon Redshift Oracle などの非 SAP ソースへの接続


→ DWCにサードパーティドライバのアップロードが必要

このブログでは、データフローからオンプレミスのABAPシステムに接続するために、SAP Cloud Connectorをセットアップする手順を記載しております。

Cloud Connectorにはポータブル版とインストーラ版がありますが、今回はPoC等で用いる簡易的なポータブル版についてご説明します。本番環境ではインストーラ版での運用を推奨いたします。ポータブル版とインストーラ版の違い、およびインストーラ版の設定についてはSAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストールをご参照ください。

※本ブログで主に参考にしているドキュメントは以下になります。

SAP Data Warehouse Cloud 管理ガイド - データフローの接続を作成するための前提条件

SAP BTP Connectivity - Cloud コネクタ

アーキテクチャ概要




事前準備


HWの前提条件























最小 推奨(TシャツモデルSサイズ相当)
CPU シングルコア3GHz、x86-64アーキテクチャ互換 デュアルコア2GHz、x86-64アーキテクチャ互換
メモリ(RAM) 2 GB 4 GB
ディスクの空き容量 3 GB 20 GB

 

本番システムでのご利用や大量データを利用する場合は別途サイジングが必要ですのでご注意ください。

インストールに必要なディスク領域(JVM除く)
新しい Cloud コネクタサーバをダウンロードしてインストールするのに必要な最低限の空きディスク領域は以下のとおりです。

  • ダウンロードする Cloud コネクタインストールファイル (ZIP、TAR、MSI ファイル) のサイズ: 50 MB

  • 新しくインストールする Cloud コネクタサーバ: 70 MB

  • 合計: 最低限 120 MB


参考:SAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストール/前提条件

■サポートOS
Linux
次のいずれかの 64 bit OSが必要です。

  • SUSE Linux Enterprise Server 11、12、15

  • Redhat Enterprise Linux 6、7、8


Windows
次のいずれかの 64 bit OSが必要です。

  • Windows 7、8.1、10

  • Windows Server 2008 R2、2012、2012 R2、2016、2019


参考:
SAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストール/Linux OS でのインストール
SAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストール/Microsoft Windows OS へのインストール

■ネットワーク
Cloud ConnectorからDWC環境間のインターネット接続が必要です。DWCホストへのすべての接続は TLS ベースであり、ポート 443 に接続します。

DWC環境には主に以下の種類があります。

①Cloud Foundry環境
日本の環境は以下の2種類です。(2021/10/11時点)

  • 日本 (Tokyo) - AWS (cf.jp10.hana.ondemand.com)

  • 日本 (Tokyo) - Azure (cf.jp20.hana.ondemand.com)


②トライアル (Cloud Foundry) 環境

  • ヨーロッパ (Frankfurt) - AWS (cf.eu10.hana.ondemand.com)

  • 米国東部 (VA) - AWS (cf.us10.hana.ondemand.com)

  • シンガポール - Azure (cf.ap21.hana.ondemand.com)


各環境のホスト名およびIPアドレスは以下をご参照ください。
SAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストール/前提条件/ネットワーク

■サポート対象ブラウザ
Cloud コネクタ管理 UI に使用できるブラウザは、SAPUI5 で現在サポートされているブラウザと同じです。









































































Platform Device Category Platform Version Safari Web View Microsoft Edge (Chromium) Google Chrome Mozilla Firefox SAP Fiori Client
Windows Desktop Windows 8.1 - - Latest version Latest version Latest version and latest Extended Support Release (ESR) -
Windows 10 - Latest version -
Touch Windows 10 - Latest version Latest version Latest version Latest version
macOS Desktop Latest 2 versions Latest 2 versions - - Latest version - -
iOS Phone and Tablet Latest 2 versions Latest 2 versions Latest version5 - - - Latest version
Android Phone and Tablet As of version 5 - - - Latest version - Latest version

詳細は以下ドキュメントをご参照ください。
SAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストール/前提条件/システム要件
SAPUI5 - Browser and Platform Support

■Cloud ConnectorSAP JVMのダウンロード (Windows)


SAP Development ToolsCLOUDタブの中のCloud Connectorセクションで該当のOS用のファイル(sapcc-2.14.1-windows-x64.zip)を選択してダウンロードします。

②SAP JVMのダウンロード
CLOUDタブの中のSAP JVMセクションで該当のOS用のファイルを選択してダウンロードします。
今回はZipファイル(sapjvm-8.1.085-windows-x64.zip)をダウンロードします。
※Cloud ConnectorにはJava8が必要です。基本的にSAP JVMの利用を推奨します。

Cloud ConnectorとSAP JVMのダウンロード (Linux)
SAP Development ToolsCLOUDタブの中のCloud Connectorセクションで該当のOS用のファイル(sapcc-2.14.1-linux-x64.tar.gz) を選択してダウンロードします。

②SAP JVMのダウンロード
CLOUDタブの中のSAP JVMセクションで該当のOS用のファイルを選択してダウンロードします。
今回はZipファイル(sapjvm-8.1.085-linux-x64.zip)をダウンロードします。
※RPM パッケージを使用して JVM をインストールすると、Cloud コネクタによって検出され、ランタイムで使用されます。Zipファイルの場合は環境変数 <JAVA_HOME>の設定が必要です。

■BTPアカウントの作成
DWCでCloud Connectorを設定するには、SAP Business Technology Platform (SAP BTP) アカウントが必要になります。
アカウントをまだ持っていない場合は、SAP BTP コックピットでRegisterをクリックしてアカウントを作成します。
検証目的の場合はFree Trialアカウントでもかまいません。BTPアカウントは、一つのDWCテナントにつき一つのみ設定可能です。

これで事前準備は完了です!それではまずCloud ConnectorとSAP JVMのインストールを行いましょう。

Cloud ConnectorSAP JVMのインストール


Portable版のセットアップ (Windows)
①ダウンロードしたCloud ConnectorとSAP JVMの圧縮ファイルを解凍し任意のフォルダに配置します。
例:sapcc-2.14.1-windows-x64.zip を解凍し C:\usr\sap\sapcc に保存
sapjvm-8.1.085-windows-x64.zip を解凍し C:\usr\sap\sapjvm_8 に保存

②環境変数にJVMのパスを指定します。
②-1. スタートメニューの検索窓で「環境変数」で検索し、「システム環境変数の編集」を選択し、「環境変数」を開きます。
②-2. 「システム環境変数」の方に以下を登録します。(管理者権限で実行するため)
・変数名:JAVA_HOME 変数値:C:\usr\sap\sapjvm_8 <=実際にJVMを展開したディレクトリを指定
・変数名:Path 変数値:C:\usr\sap\sapjvm_8\bin <=既存のPathの一番最後にセミコロンを追加して、実際にJVMを展開したディレクトリを追加

Portable版のセットアップ (Linux)
①ダウンロードしたSAP Cloud ConnectorとSAP JVMの圧縮ファイルを解凍し任意のフォルダに配置します。
コマンド例
tar xvzf sapcc-2.14.1-linux-x64.tar.gz -C /usr/sap/scc
unzip sapjvm-8.1.085-linux-x64.zip
tar xvzf sapcc-2.14.1-linux-x64.tar.gz -C /usr/sap/scc
unzip sapjvm-8.1.085-linux-x64.zip

②環境変数にパスを指定します。
<JAVA_HOME>にJavaインストールディレクトリを指定、または<Path>にJavaインストールディレクトリ配下のbinディレクトリを指定します。
環境設定シェルに追加するか、Cloud Connector Portable版の起動前にexportコマンドを実行してください。
コマンド例 (exportコマンドまたは環境設定シェルに追加)
export JAVA_HOME=/usr/sap/sapjvm_8
export PATH=$PATH:$JAVA_HOME/bin
export JRE_HOME=$JAVA_HOME/jre
export JAVA_HOME=/usr/sap/sapjvm_8
export PATH=$PATH:$JAVA_HOME/bin
export JRE_HOME=$JAVA_HOME/jre

■インストーラのインストール (Windows/Linux) について


今回はポータブル版についてご説明しているためこちらの手順は不要ですが、一般的に本稼働で推奨されるバージョンとしてインストーラ版が提供されています。インストーラ版を利用するとCloud Connector は Windows サービスとして登録されるため、マシンのリブート後に自動的に起動します。
LinuxはRPM、Windowsは MSI 形式でインストールします。

Linuxでインストーラ版をインストールする際は、以下マニュアルをご参照ください。
SAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストール/Linux OS でのインストール

Windowsでインストーラ版をインストールする際は、以下マニュアルをご参照ください。
SAP BTP Connectivity - 接続/Cloud コネクタ/インストール/Microsoft Windows OS へのインストール

これでインストールは完了です。ここから各種設定を行います。

Cloud Connectorの設定


Cloud Connector Portable版の起動 (Windows)


①コマンドプロンプトを管理者権限で開きます。

②Cloud Connectorをインストールしたディレクトリに移動します。
cd C:\usr\sap\sapcc

③go.batを実行します。→Cloud Connectorが起動します。
go.bat

④以下のメッセージが表示されたら次の手順に進んでください。
Using CATALINA_OPTS:   ""

Cloud Connector Portable版の起動 (Linux)


①Linuxのターミナルにログイン

②Cloud Connectorをインストールしたディレクトリに移動します。
cd /usr/sap/scc

③go.shを実行します。→Cloud Connectorが起動します。
./go.sh

④以下のメッセージが表示されたら次の手順に進んでください。
Using CATALINA_OPTS:

Cloud Connector 管理UI へログイン (Windows/Linux共通)


①ブラウザからhttps://<hostname>:8443 にアクセスします。
<hostname>はCloud Connectorをインストールしたサーバのホスト名またはIPアドレスです。サーバ上のブラウザの場合はhttps://localhost:8443/ にアクセスします。

②「<hostname>にアクセスする (安全ではありません)」をクリックします。 ※ブラウザによってメッセージは異なります。


③以下を入力し、Loginします。
User Name: Administrator
Password: manage(初期パスワード)


④パスワードを変更します。
Current Password:manage
New Password : 新規パスワードを入力してください
Repeat New Password :確認のための新規パスワードを入力してください。
今回、マスタのみの構成を作成しますので、Masterを選択します。
最後にSaveボタンを押します。

DWCCloud Connector経由でのABAPシステムとの接続設定


DWCSAP BTP アカウントを登録


①DWCにログインし、システム→管理を選択


②「データソース設定」のタブを選択し、「SAP Cloud Platform (SAP CP) アカウント」のセクションに移動し、右上の編集ボタンをクリック。「電子メール」の欄にSAP BTP アカウントを入力し、「Cloud Platformユーザーの追加」をクリック。
※SAP BTPアカウントは1つしか設定できません


④こちらのページのアカウント情報をCloud Connector 管理UIで利用するため、この画面は閉じずにこのままの状態にします。

Cloud Connectorにサブアカウントを追加


①Cloud Connector 管理UI にログイン
https://<hostname>:8443
User Name:Administrator
Password:変更したパスワード

②以下のSubaccount情報を入力し、Saveをクリック
Region: DWCの「SAP Cloud Platform (SAP CP) アカウント」のリージョンホストを指定
Subaccount: DWCの「SAP Cloud Platform (SAP CP) アカウント」のアカウント名を入力
Display Name: 任意の名前を入力
Subaccount User: DWCの「SAP Cloud Platform (SAP CP) アカウント」のサブアカウントユーザを入力
Password: サブアカウントユーザのパスワードを入力

■システムマッピングの追加


①「Cloud To On-Premise」を開き、「+」をクリック

②Back-end Typtに「ABAP System」を選択しNextをクリック


③Protocolに「RFC」を選択しNextをクリック


④今回はMasterのみの構成のため、「Without load balancing」を選択しNextをクリック


⑤接続先のABAPシステムの「Application Server」と「Instance Number」を入力しNextをクリック

⑥接続先のABAPシステムの「Virtual Application Server」と「Virtual Instance Number」に任意の値を入力しNextをクリック


⑦必要であればVirtual Application Server, Descriptionを入力してNextをクリック


⑦Finishをクリック


設定結果は以下のようになります。

■リソースの追加


①「Cloud To On-Premise」を開き、Resourcesの「+」をクリック


②Function Nameに「DHAMB_」を入力し、Naming Policyで「Prefix」を選択しSaveをクリック


③「+」をクリック


④Function Nameに「DHAPE_」を入力し、Naming Policyで「Prefix」を選択しSaveをクリック


⑤「+」をクリック


⑥Function Nameに「RFC_FUNCTION_SEARCH」を入力し、Naming Policyで「Exact Name」を選択しSaveをクリック


設定結果は以下のようになります。


上記に記載した方法はDWCの接続タイプが「SAP ABAP」の場合です。
接続タイプが「SAP BW」または「SAP ECC」である ABAP システムにアクセスするには、さらに以下を追加します。(Naming PolicyでExact Nameを選択)

  • /SAPDS/EXTRACTOR_NAVIGATE

  • /SAPDS/GET_VERSION

  • /SAPDS/MODEL_NAVIGATE

  • BAPI_USER_GET_DETAIL

  • RODPS_REPL_CONTEXT_GET_LIST

  • RODPS_REPL_ODP_FETCH

  • RODPS_REPL_ODP_GET_DETAIL

  • RODPS_REPL_ODP_GET_LIST

  • RODPS_REPL_ODP_OPEN<=マニュアルに記載なし。


SAP Data Warehouse Cloud 管理ガイド - クラウドコネクタの設定

接続タイプが「SAP BW Bridge」の場合は、3112568に添付されているファイル(添付ファイル>ODP_RFC_RESOURCES_2022-03-14.zip)をダウンロードした後に、Browseから、ダウンロードした【ODP_RFC_RESOURCES_2022-03-14.zip】を選択し、Importをクリックしてください。

DWCのスペースにABAP接続を追加


①DWCにログインし、接続を選択


②設定対象のスペースを選択


③「ローカル接続」のセクションにて、既存の接続先を選択し編集 or 新規作成(接続タイプはSAP ABAP)


④「Cloud コネクタ使用」で「True」を選択、ロケーションを必要に応じて選択、ソースシステムの情報・ユーザ名とパスワードを入力し、保存をクリック


⑤該当の接続先を選択し、接続チェックを行って「データフローが有効になっています。」が表示されたら成功です。



DWCのデータフローの作成


DWCに戻り、データフローを作成していきます。ここではデータフローの作成画面からデータソースにアクセスできることの確認のみ実施します。

①DWCにて「データビルダ」にアクセス


②スペースを選択(既に選択済みの場合はそのまま③へ)


③「新しいデータフロー」を選択


④「ソース」を選択し、「接続」を展開、対象の接続先を展開、対象のCDS Viewを選択しアクセスできることを確認



Cloud Connectorの管理


Subaccount の接続と切断


Cloud Connector AdministrationでConnectボタンを押すと接続され、Disconnectボタンを押すと切断されます。


Cloud Connector Portable の停止 (Windows)


方法1
コマンドプロンプトで「Ctrl」キーを押したまま「C」キーを押します。これでバッチプログラムを途中で中止でき、コマンドプロンプト画面も消えません。
方法2
コマンドプロンプトを閉じる(Xを押す)ことで終了します。

Cloud Connector Portable の停止 (Linux)


方法1
ターミナル画面で「Ctrl」キーを押したまま「C」キーを押します。これでバッチプログラムを途中で中止でき、ターミナル画面も消えません。
方法2
ターミナル画面を閉じる(Xを押す)ことで終了します。

終わりに


お疲れ様でした。これでSAP Cloud Connectorのインストールと設定を行っていただけたかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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