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はじめに

ユーザーエクスペリエンス管理のソリューションであるSAP User Experience Management by Knoa(以下、Knoa)について紹介する2回目のブログ記事です。

前回は、Knoaの全体像をまずおさえて頂くことを目的に、Knoaのツールとしての位置付けや役割、また想定されるKnoaの活用場面といったトピックを中心にご説明させて頂きました。

2回目の本ブログ記事では、Knoaのアーキテクチャ等、技術的なトピックにフォーカスしてご説明していきたいと思います。

 

Knoaのアーキテクチャ概要

最初にKnoaのシステムアーキテクチャの概要からご説明したいと思います。

Knoaにはオンプレミス版とクラウド版が提供されています。まず、オンプレミス版のシステムアーキテクチャ図(図1)を使って、キーとなる各コンポーネントについてご説明します。


図1 : オンプレミス版Knoaのシステムアーキテクチャ概要図


 

(1)Knoa Agent

Knoa Agentは、SAPシステム等で業務ユーザーが行った操作状況の監視を担うクライアントベースのコンポーネントです。 業務ユーザーの操作状況に対する監視の結果として、ユーザー側のパフォーマンス情報、また操作ログであるトラックデータがKnoa Agentによって生成され、Knoa Operational Serverに送信されます。

Knoa Agentのコンポーネントは、業務ユーザーが使用するユーザーインターフェイスがレンダリングされる場所(業務ユーザーのPCや仮想デスクトップなど)に展開されます。

 

(2)Knoa Operational Server

Knoa Operational Serverは、Knoa Agentからユーザー側のパフォーマンス情報やトラックデータを受信し、これらからイベントの生成、およびこれらのイベントのリレーショナルデータベースへの保存をリアルタイムで実行します。

 

(3)Knoa ETL Server

Knoa ETL Serverは、Knoa Operational Serverのデータベース上に保存されるイベントデータをレポート用に設計された分析データに変換するコンポーネントです。

 

(4)Knoa BI Server

Knoa BI Serverでは、Knoaが提供するレポートアプリケーションが利用できます。レポートアプリケーションは、ビジネスインテリジェンスプラットフォーム上に構築されますが、代表的なものとして、前回もご紹介したSAP BusinessObjectsが挙げられます。

 

(5)Knoa Management Console

Knoa Management Consoleは、Knoaのシステム管理者がエージェントや監視テンプレート、サーバーやデータベースまで、Knoa のシステムコンポーネントに対する継続的な運用を行うためのWebベースのツールです。

 

一方、クラウド版のシステムアーキテクチャの概要図を図2に示します。


図2 : クラウド版Knoaのシステムアーキテクチャ概要図


 

クラウド版のKnoaは、以下2つのコンポーネントで構成されています。

(1)Knoaサーバーコンポーネント

Knoaのクラウドプラットフォーム上でホストおよび実行されます。

 

(2)Knoaクライアントコンポーネント

契約されているお客様の環境内に展開され、SAPランドスケープ内のソリューションの監視を行います。

 

Knoaが対応するUI

次に、Knoaによって操作ログのキャプチャが可能なUIについてご説明します。

SAP製品については、以下のUIでKnoaが利用可能となっています。

  • SAP Fiori / SAPUI5

  • SAP GUI for Windows / SAP GUI for HTML

  • SAP Enterprise Portal

  • SAP CRM

  • SAP Business Client

  • Web Dynpro

  • SAP SuccessFactors


一方、非SAP製品に対してはKnoaの開発キット(Knoa SDK)で別途開発を行うことにより、ChromeやIE等ブラウザ経由で利用するWebアプリケーションの操作ログが取得可能となります。

 

Knoa Agentのプロファイル設定

Knoa Agentを業務ユーザーのPC等へ展開する前に、Knoa Agentの動作条件や操作ログの取得対象UIに関するパラメータなどをKnoa Agentのプロファイルとして設定しておく必要があります。

Knoa Agentのプロファイル設定は、Knoa Management Consoleへログインし、メニュー”Client Management”→”Client Profiles”から行います。

特に、SAP FioriやSAP CRM、SAP Enterprise Portalなど、ブラウザ経由でアクセスするUIについては、操作ログの取得対象となるアプリケーションのアドレスを記述しておく必要があります。

 

Knoa Agentのインストール

管理者によって設定されたKnoa Agentは、Knoa Management Consoleの以下URLを介して業務ユーザーに展開することができます。

http://<CONSOLE_SERVER>:<PORT>/knoa/app/profile

 

業務ユーザーは該当のURLへアクセスし、管理者から指定されたKnoa Agentをダウンロードした後、各自のPC等へインストールします。Knoa Agentのインストール自体は数分で完了します。

  • Windows環境におけるKnoa Agentのインストール先は、下記フォルダがデフォルトとなります。
    C:\Program Files(x86)\knoa\KnoaAgent\


 

操作ログの取得状況の確認

Knoa Agentインストール後は、業務ユーザーが取得対象のUI上で操作を行うごとに操作ログがKnoa Operational Serverへ送信されます。操作ログが正しく送信されていることを確認するためには、Knoa Management Consoleへログインし、メニュー”Server Management”から”Track Viewer”を開きます。

 

分析のためのレポートアプリケーション概要

それでは最後に、分析のためのレポートアプリケーションについてご説明します。

現在、レポートアプリケーションとして利用可能なオプションは以下のようなものがあります。

  • Knoa BI application for SAP BusinessObjects
    前回のブログ記事でも少し触れましたが、SAP BusinessObjectsの事前定義された各種分析機能を提供しています。

  • Knoa Cloud Dashboard
    クラウド版Knoaでのみ利用可能なレポーティングアプリケーションです。2020/Q3に正式リリースとなりました。


今回のブログ記事では、Knoa BI application for SAP BusinessObjectsで利用可能な各機能の概要について、ご説明いたします。

 

Dashboard

Dashboardは、集計されたデータに基づいたパフォーマンスやユーザーエラーの問題分析に使用される概要ビューです。
アプリケーションのアクティブタイムを日次のトレンドやシステム、あるいは実行した画面毎に参照したり、また、発生したユーザーエラーに対しては、エラーメッセージの種別や実行したトランザクション毎に参照したりすることができます。

 

Report

Reportは、Knoaがカバーする操作ログに関する全てのメトリック(アプリケーションのアクティビティ、ユーザーおよびシステムエラー、エラー以外のメッセージ、操作の応答時間)に関するレポート機能を提供しています。以下のレポートタイプが利用可能です。

  • KPI レポート
    集計された操作ログをハイレベルな視点から分析をするために利用するレポート

  • Summaryレポート
    課題に対する根本原因分析を行うために、様々なディメンジョン(ユーザー、モジュール、画面など)毎に集計されたレポート

  • Detailedレポート
    個々のイベントログに関するレポートであり、最も詳細な情報が含まれる(Summaryレポートからドリルダウンすることで利用可能)


Alert

Alertは、予め設定された閾値を超えた際にKnoaのメトリックに関するレポートをアラートの形で受け取ることができる機能です。以下2つのレポートタイプが利用できます。

  • Summaryレポート
    データの日次集計に基づくレポートです。例えば、日々の運用の中でプロアクティブな支援が必要な領域の優先順位付けをする際の情報として活用する、といった使い方が可能です。

  • Detailed レポート
    個々のイベントに関する閾値が超過した際に送付可能なレポートです。閾値が超過したタイミングと合わせてほぼリアルタイムでアラートレポートが送信されるため、関係者の即時対応が可能となります。


Workflow

ユーザーワークフローは、業務ユーザーが実行したアプリケーションのアクティビティや発生したエラーメッセージなど、アプリケーションの応答を時系列で表したものです。Workflowのレポートでは、監視対象アプリケーションのユーザーセッション全体に渡るユーザーのアクティビティとアプリケーションの応答が表示されます。 Workflowのレポートにより、アプリケーションに対するユーザーの実行アクションを追跡し、問題を識別および検証することが可能となります。

 

まとめ

2回に渡りKnoaの役割や想定される使い方、また技術的なバックグラウンドについてご説明いたしました。

業務ユーザーのアクティビティの可視化という点で捉えると、プロセスマイニングツールと似ている点がありますが、プロセスマイニングツールはバックエンドシステムに対して視点を置いているのに対し、Knoaはフロントエンドに対して視点を置いています。フロントエンドのUIの画面情報やUI上に表示されるエラーメッセージなど、Knoaだからこそ取得できる情報もあります。そういった意味では、お互いを補完できる関係と言えるかと思います。