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SAP ASE 16.0 SP04 の新機能
昨年 9 月に [ SAP ジャパンブログ ] に掲載した「SAP ASE and SAP IQ (旧Sybase ASE/Sybase IQ) : The Next Generation」でも紹介した「2020 年に計画されている新しい SAP ASE のリリース」である SAP ASE 16.0 SP04 についてご紹介します。
このブログ記事は、SAP Community に掲載されている英語記事 What’s New in SAP ASE 16.0 SP04 の抄訳です。
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SAP Adaptive Server Enterprise と SAP Replication Server 16.0 SP04がリリースされました。 https://support.sap.com/swdc の「Support Package & Patches」からダウンロードできます。
SAP ASE 16.0 SP04 では、特に以下の機能追加にフォーカスしました。
- Always-On ( HADR ) の機能を拡張し、フェールオーバー時の XA トランザクションをサポート
- Adobe Flash ベースの ASE Cockpit を新しいツールであるAdministration and Management Console (AMC) にリプレース
- Workload Analyzer コマンドラインユーティリティー( WLACLIUtil ) の機能追加
- リードオンリーの接続プロパティを拡張
- JDBC 4.2 ドライバー
- セッション属性の複製
- OS syslog への監査記録の書き込み vs. sybsecurity/sysaudits
その他多くの細かいながら重要な機能を強化しました。SAPNote 2985445 とリリースノートをご参照ください。
Always-On ( HADR ) の機能を拡張し、フェールオーバー時の XA トランザクションをサポート
これは、XA / Openトランザクションをサポートするために現行のAlways-On の機能を拡張したものです。以前はコンパニオンノードは、トランザクションがオープンでコミットされる前にフェールオーバーが発生しても、オープン XA トランザクションの知識はありませんでした。
XA トランザクションが HADR プライマリー内の複製されたデータベース内で実行される際に、prepare command を含む全てのコマンドがCI レプリケーションモードのSAP Replication Server に送信されます。SAP Replication Server は「prepare」コマンドを通常のコマンドとしてハンドリングし、通常のレプリケーション中に XS トランザクションの「commit」または「rollback」が見られた時にこれを廃棄します。
しかしながら、フェールオーバーが発生した時に準備された XA トランザクションがプライマリー ASE にある場合、ドレイン XA トランザクションマーカーは prepare transaction をトリガーし、同じ XID でXA ライブラリーを使用してコンパニオン ASE に適用されます。
これは、フェールオーバー時に、(その前はプライマリーだった)ASE がトランザクションを完了する新しいプライマリーのコンパニオンに降格する間、準備された XA トランザクションを無視するために ASE トランザクションマネージャーに対して変更が必要になりました。
Adobe Flash ベースの ASE Cockpit を、新しいツールである Administration and Management Console (AMC) にリプレース
ASE Cockpit の Adobe Flash ベースの GUI アプリケーションの終息に伴い、新しいブラウザーベースの管理インターフェース – Administration and Management Console (AMC) を開発し ASE Cockpit で提供していた機能をリプレースしました (SAPNote 2905660 を参照してください) 。
AMC ホームページ
AMC および ASE Cockpit は、サイドバイサイドでインストールすることが可能ですが、今後 ASE Cockpit は GUI (Flash) アクセスなしの監視とアラート通知サーバーとしてのみ機能します。ASE Cockpit サーバー機能の管理方法の詳細は、マニュアルの Managing SAP ASE from the Command Line を参照してください。
AMC は、SAP 独自のテクノロジーをベースにしています。これはASE Cockpit を完全にリプレースするものとして進化していきます。
SP04 の GA 版では、AMC は Windows と Linux プラットフォームにのみインストールが可能です。他のプラットフォームでは今後のリリースで対応します。
詳細は、マニュアルの AMC – Administration and Management Console for SAP ASE を参照してください。
Workload Analyzer コマンドラインユーティリティー ( WLACLIUtil ) の機能追加
ASE 16.0 SP03PL07 で導入された WLACLIUtil が強化され、WLA リポジトリからデータを Excel にエクスポートできるようになりました(Workload Analyzer Users Guide を参照してください)。
さらに、AMC の WLA GUI 機能では(上の画面ショットの「Configuration」部分にあります)WLACLIUtil と同じコアのライブラリを使用します。ASE が WLA を使用できるようライセンスされると、AMC と WLACLIUtil のどちらもリポジトリに接続し、ワークロードのキャプチャーとリプレイの管理に使用することができます。
「dbcc workload_capture」 コマンドまたは ASE Cockpit で PCAP ファイルとしてキャプチャーされた他の ASE (ASE 15.7 SP137 以降) からのワークロードは、WLACLIUtil ‘import’ コマンドでリポジトリにインポートし、WLACLIUtil または AMC を使用して分析、プレイバックすることができます。
JDBC 4.2 ドライバー
これは SP04 で追加されたものではありませんが、JDBC 4.2 ドライバーを jconn42.jar として ASE 16.0 SP03PL09 でリリースしていました。ここで改めて紹介します。
接続のために提供されたURL は同じままです – 「jdbc:sap:Tds」 または ‘jdbc:sybase:Tds」。しかし、このドライバーを使用し、jdbc.sql.DriverManager.getDriver(<URL>) を使用せずに直接クラスをコールする場合には、jdbc.sql.Driver クラスとして「com.sybase.jdbc42.jdbc.SybDriver」 を使用する必要があります。
プログラミングのリファレンスについては、 SAP jConnect for JDBC Programmers Reference を参照してください。
どの jConnect ドライバーをアップグレードする場合でも、jConnect のアップデートの一部としてターゲット ASE にインストールしなければならない SP は、ASE 16.0 SP04 のインストールマスターおよび$SYBASE/jConnect-16_0/sp フォルダーにあるため、ASE の旧バージョンをアップグレードして新しいドライバーを使用できます。
リードオンリーの接続プロパティを拡張しました
この機能は、クライアント接続をセッションレベルで「リードオンリー」に設定することができます。接続が「リードオンリー」に設定されている場合、select のクエリーのみが可能であり、DML や DDL は利用できません。
例えば、jConnect ドライバーで接続を「リードオンリー」に設定するには、以下のどちらかを行います。
- 接続プロパティ CONNECT_READONLY を「True」に設定(デフォルトでは「false」)
または
- java.sql.Connection.setReadOnly(true|false)
最初の例は、例えば最初の接続設定を確立する時に使用できます。2番目の例は、動的であり再接続なしに設定変更する場合に使用できます。
セッション属性の複製
「clientname」、「clientapplname」、「clienthostname」 のいずれかのセッション属性が複製されたトランザクションを実行しているセッションに設定されている場合、これらは LTL および CI のレプリケーションモード双方で SAP Replication Server に送信されます。
新しい SAP Replication Server 関数文字列変数では、これらをユーザー定義関数文字列でも使用することが可能です。
OS syslog への監査記録の書き込み vs. sybsecurity/sysaudits
これは、オンプレミスではなく Hyperscaler で ASE 16.0 SP04 をLinux OS 上にディプロイする場合のみの機能です。
ASE は、監査記録を Sybsecurity データベース内のテーブルに送るのではなく、OS syslog ファイルに直接送るように設定することができます。
これにより、は ASE 自体の使用方法を知らないクラウドの管理者でも監査の問題を即座に見てアクションを起こすことができます。
さらなる詳細情報については、このリリースに付属する What’s New を参照してください。
これは、2021 年 Q1 にリリース予定の新しい HANA Cloud ASE サービスの GA 前のリリースであり、SAP のオンプレミス ASE (*1) とクラウドネイティブな ASE (*2) 双方に対するコミットを表しています。
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*1 : SAP ASE に関しては、2022 年リリース予定の ASE 16.1 のMainstream Maintenance が現時点で 2030 年であることが SAP PAMに掲載されています。
*2 : 2021年 2 月時点では、「SAP HANA Cloud, Adaptive Server Enterprise service」という名称になる予定です。IQのサービスは「SAP HANA Cloud, Data Lake service」、Replication Server のサービスは「SAP HANA Cloud, Adaptive Server Enterprise Replication service」という名称になる予定です。