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SAPの新しい移送ツールgCTS【Part.2 設定編】
SAPの新しい移送ツールgCTSについてご紹介するシリーズ、第2回の今回は設定方法についてご紹介していきます。
さっそく、手順について確認していきましょう!
なお、ここでの手順・スクリーンショット等の情報はSAP S4/HANA 1909 FP1を想定・使用しています。
事前準備
OSの確認
JVMのインストールとバージョンの確認
gCTSを設定・使用するにはJVMバージョン1.7以上が必要となります。JVM1.7以上がインストールされていることを確認しましょう。また、バージョンが低い・インストールがされていない場合はインストールをしておいてください。
最後に、JAVAへのパスを控えておきましょう・・・【A】
TCPポート開放の確認
TCPポート22番とTCPポート4043番が開放されていることを確認してください。解放されていない場合、開放しておきます。
Gitクライアントインストールの確認
gCTSはGitクライアントとしてプログラムabap2vcs.jarを使用します。このプログラムは標準インストールをするとSAP Karnelの一部としてOSにインストールされます。
abap2vcs.jarへのパスを控えておきましょう・・・【B】
Gitサーバの準備
Gitサーバを用意します。Gitサーバを用意できない場合、GitのクラウドサービスであるGitHubでアカウントを取得しておきます。GitHubは無料で使用することができます。(GitHubが御社のセキュリティ要件を満たすかどうかについては別途ご検討ください)
サーバ(GitHubアカウント)の準備ができたら、リポジトリを登録し、URLを控えておきましょう・・・【C】
設定
OS上での設定
gCTS用に任意の場所に新規フォルダを登録します。フォルダのパスを控えておいてください・・・【D】
ABAP上での設定
ここから、ABAPインスタンス上での設定になります。
権限調整
トランザクションコード PFCGを使用して、権限ロールSAP_BC_GCTS_ADMINとSAP_BASIS_TCR_T をそれぞれをコピーします。コピーした新しいロールの権限プロファイルを生成し、ユーザに割り当てます。
ユーザにSAP_ALLが付与されているような場合にも、SAP_BASIS_TCR_T (のコピー)の付与は必要になりますのでご注意ください。この権限がないと Fioriアプリケーションにアクセスできません。
不具合修正ノートの適用
SAPノート 2821718 を確認し、リリースごとの不具合修正ノートを適用してください。
Fioriアプリの有効化
トランザクションコード SICFを使用して以下のサービスを有効化します。
- /sap/bc/ui5_ui5/sap/bc_cts_git
- /sap/bc/cts_abapvcs
また、トランザクションコード /IWFND/MAINT_SERVICE を使用して、以下のODataサービスを有効化します。
- SCTS_GCTS_SRV
gCTSの設定
ここからは、Fioriアプリを使用して設定を行います。最初にFioriランチパッドを起動し(トランザクションコード /ui2/flp )、SAP Application Services グループの中にある Git-enabled CTS というアプリケーションを起動します。
アプリケーションを起動したらまず、Initialize Systemボタンを押します。
次に、Configurationsタブをクリックして+ボタンを押します。
すると、パスを追加するためのポップアップが起動されますので、以下のパラメーターを追加してください。
設定パラメーター | 入力する値 |
JAVA_RUNTIME | 上記【A】の値 |
A2G_RUNTIME | 上記【B】の値 |
VCS_PATH | 上記【D】の値 |
すべて追加すると、以下のようになります。
リポジトリの関連付け
最後に、GitのリポジトリとgCTSの紐付けを行います。
Repositoriesタブを選択し、+ボタンを押します。
上記【D】のリポジトリのURLを入力し、リポジトリを登録します。ここでは開発機からGitに変更をpushするため、ロールはDevelopmentを選びました。
これらのSTMSの設定は、gCTSのアプリで設定するバックグラウンドで自動的に設定されています。gCTSは新しい機能ですが、根幹には既存の移送管理技術が使用されていることがわかります。
設定編は以上です。次回はgCTSの使い方についてご紹介します!ご覧いただきありがとうございました。