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更新履歴:


2021年4月25日:“3. 対応する開発シナリオ”を4月25日時点におけるdev spaceのシナリオ対応状況にあわせて更新しました。

はじめに


2020年のQ1より新しいCloudベースのIDE(統合開発環境)として、SAPは“SAP Business Application Studio”をリリースしました。SAP Business Application StudioはSAP Business Technology PlarformのCloud Foundry環境に用意された新しいサービスであり、SAP Intelligent Enterpriseのビジネスアプリケーション開発のために用意された最新の開発環境を提供します。

本ブログでは、このSAP Business Application Studioの概要について以下の観点より紹介します。

  1. SAP Business Application Studioへ移行する意味

  2. SAP Business Application Studioの価値

  3. 対応する開発シナリオ

  4. SAP Business Application Studioのアーキテクチャ

  5. SAP Business Application Studioのセットアップ

    1. trialアカウントの場合

    2. プロダクションアカウントの場合




1. SAP Business Application Studioへ移行する意味


過去およそ6年に渡って、主にブラウザベースのIDEとしてSAP WebIDEは提供されてきました。同様にブラウザベースの次世代のIDEであるSAP Business Application Studioを提供するにあたり、SAPのIDE開発チームは以下の4つのモチベーションを掲げています。


開発UXの向上

SAP Business Application Studioでは、OSS(Open Source Software)であるEclipse Theiaを採用することでIDE業界をリードするIDEと同等のUXを目指しています。また、以前と同じブラウザベースのIDEでありながらCLIもサポートします。 例えばCF用のアプリ開発においてcf CLIを用いることで、開発者はCFのログのトレースや環境へのアクセスを容易に扱えるようになります。これによって開発におけるUXが向上します。

E2Eでシンプルな統合

SAP Business Appoication Studioでは、SAP特有のアプリケーション開発シナリオ(SAP Cloud Application Programming Model(CAP)SAP HANA Cloudの開発など)に対してend-to-endの開発環境を提供します。SAP Business Application Studioはあらゆる業種およびあらゆるレベルの開発者への対応を目指しています。SAP Business Application Studioを用意すれば、SAPの開発シナリオを用いたプロジェクト作成から開発、テストおよびデプロイまであらゆる開発者が実施可能です。

フレキシブルな環境

SAP Business Application StudioはCloud Foundryをサポートしています。過去のWebIDEではCloud  Foundryのためのアプリケーション開発の場合でも、Neo環境を用意してWebIDEを利用する必要がありました。しかしSAP Business Application StudioはCloud Foundry環境で利用可能です。SAP Business Application StudioはAWS、Azureなどのどのハイパースケーラ上でも用意されています。また、2021年のQ2にはデスクトップ版も対応される予定※です。これはEclipse Theiaを採用した恩恵の一つで、Theiaは単一のソースからブラウザ版もデスクトップ版も利用できるように設計されているためです。

※予定は予告なく変更されることがあります。

効率的なIDE開発

IDEの開発チームは新たなIDEを用意するにあたって、“SAPシナリオにより注力した開発”を目標に掲げています。 過去のWebIDEの開発時には、GitやIDE上の検索などの一般的な開発関連のツールにも開発時間が多く割かれていました。 しかしOpen Source SoftwareのIDEであるEclipse Theiaでは事前にこれらの開発ツールが用意されているため、SAP Business Application Studioはそれらの一般的なツールの実装に時間をかけずに開発されています。この結果、SAPのIDE開発チームはSAP特有のツールにより時間をかけて開発できるようになり、SAP Business Application Studioを利用する開発者はそれらの機能をより早く利用できるようになりました。

2. SAP Business Application Studioの価値


SAP Business Application StudioにはSAPのアプリケーションを開発するときに価値を発揮する以下の4つの特徴があります。


すぐに開発可能

SAP Business Application Studioの最も大きな特徴はワンクリックでDev Spaceをすぐに使えることです。このDev Spaceはいわゆるワークスペースに近い概念です。開発者は作成したいアプリケーションのシナリオに合わせて、パッケージ化されたDev Spaceをワンクリックでコンテナとしてすぐに立ち上げることができます。Dev Spaceの停止や削除に関しても同様にワンクリックで実行できます。開発者はこのワンクリックで使えるDev Space上でコーディング、ビルドからテストおよびデプロイまでend-to-endで対応可能です。Dev Spaceとして選択可能なシナリオにはFioriアプリ開発やモバイルアプリ開発のためのシナリオがあります。 また、Dev Spaceはそれぞれが独立したコンテナであるために、各Dev Spaceは環境として独立しています。したがって、開発者は開発したいアプリケーションの専用の環境をDev Spaceに構築することができます。複数のアプリ開発を同時に着手しているときに起こりがちなnpmやJavaのバージョン切り替えなどをする必要はありません。

シンプルな開発環境

また、SAP Business Application Studioは統一されたend-to-endの開発UXを提供します。SAP WebIDEと同様にブラウザベースで動きますが、そのUXはデスクトップライクに作られています。SAPUI5、JavaやNode.jsなどのテストもデプロイすることなしにSAP Business Application Studio上で実行することができます。

SAPソリューションとの統合

アプリを環境の意味でシンプルに開発しやすくするために、SAP Business Application StudioはSAP S/4HANAのオンプレ版やクラウド版およびSAP API Business Hubなどに接続する手段を提供しています。これにより、SAP Business Application StudioはFioriやCAPを用いたアプリをSAP CPのCloud Foundry環境に向けた開発、ローカルテストからデプロイまで対応します。FioriやCAPだけでなく、オープンソースであるJava、OData、JavaScriptやNode.jsにも対応しています。またSAP Business Application Studioはクラウドアプリとして作られているために、これらのサービスのインストールやアップグレードは不要です。自動的にアップデートされます。

高い生産性

SAP Business Application Studioは開発者が高い生産性を発揮するためのツールを用意しています。アプリケーション開発のためのテンプレートウィザード、Fiori開発などのために作りこまれたコードエディタやグラフィカルなエディタなどのツールがあります。また、Fiori Elementsを開発運用するための新しいツール“SAP Fiori tools”も特定のシナリオにおいて利用可能です。マーケットプレイスを用いて外部の開発者が作成した機能も利用可能です。プロジェクトにおけるコーディングスタイルの統一機能などもマーケットプレイスからインポートできます。これらの設定はチーム内で共有して開発を進めることもできます。

3. 対応する開発シナリオ


SAP Business Application StudioはSAPソリューション開発のために現在以下の4つのシナリオを用意しています。

SAP Fiori

SAP Fiori freestyleもしくはSAP Fiori Elementsを開発するためのシナリオ

Full Stack Cloud Application

Node.jsやJavaを用いてCAPアプリなどのフルスタックアプリを開発するためのシナリオ

SAP HANA Native Application


SAP HANAのネイティブアプリや分析モデルを扱うためのシナリオ

SAP Mobile Application

iOSやAndroidアプリをカスタマイズ、デプロイおよび管理するためのシナリオ

Basic

ベーシックな開発ツール群が用意された軽量なシナリオ

4. SAP Business Application Studioのアーキテクチャ


SAP Business Application Studioはクラウドベースのアプリケーションであり、開発者はブラウザを用いてSAP Business Application Studioにアクセスします。Dev Spaceはコンテナとして独立しており、その中には書いたコードなどを保管するためのファイルシステム、npmなどの開発環境、選択したシナリオごとのツール、およびDev Space作成時に追加できるエクステンションがあります。


このDev Spaceは技術的にはk8sのpodに1対1に対応します。ひとつのDev Spaceがひとつのpodです。このため、それぞれのスペースはOSレベルで環境として独立しています。ファイルシステム自体はパーシステントボリュームにマウントされているので、Dev Spaceとしてpodを停止しても開発物が消えることはありません。

開発したソースは外部のGitサーバにアクセスして保管することもできます。また、開発したソースのテストはこのSAP Business Application Studioから各種システムにアクセスして実施することも可能です。もちろん、最後にはこれらの開発物のデプロイも可能です。

5. SAP Business Application Studioのセットアップ


trialアカウントおよびプロダクションアカウントでは、それぞれ以下のようにSAP Business Application Studioをセットアップします。

5.i. trialアカウントの場合


SAP Tutorial Navigatorの“Set Up SAP Business Application Studio for Development”に従う。

5.ii. プロダクションアカウントの場合


SAP Business Application Studioのサービスをサブスクライブします。




SAP Business Application Studioを利用するユーザに必要なロールを割り当てます。




SAP Business Application Studioにアクセスします。


Dev Space管理画面が表示された場合、セットアップ完了です。



おわりに


SAP Business Application Studioを使って良い開発ライフを!

 

参考URL