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SAP Intelligent RPA を始めよう
このブログでは、SAP Intelligent Robotic Process Automation (SAP Intelligent RPA) のインストール手順を解説します。SAP Intelligent RPAのヘルプサイトの中のインストールガイドにも日本語で解説もありますので、併せてご参照ください。
SAP Intelligent Robotic Process Automation は、3 つのコンポーネントで構成されるハイブリッドソリューションです。
- 自動化プロセスを設計するための Desktop Studio
- 自動化を調整するための Cloud Factory
- 自動化を実行するための Desktop Agent
これらをインストールするための手順は、大きく以下の2つのステップで構成されます。
1) SAP Intelligent Robotic Process Automation Factory 設定
上記の2. のCloud Factoryを設定します。ここでは、無償のトライアルアカウントを利用します。
2) オンプレミスコンポーネント設定
Windows PCに、Desktop StudioとDesktop Agentにインストールします。ここでは、SAP Intelligent RPAの契約を持っている場合を解説しますが、無償のコンポーネントをダウンロードしてインストールする場合もほぼ同様です。
では、最初のステップから見ていきましょう。
1) SAP Intelligent Robotic Process Automation Factory 設定
このブログでは、無償のSAP Cloud Platformトライアルアカウントを利用します。既に契約済のSAP Cloud Platformグローバルアカウントがあればそれを利用してください。
SAP Cloud Platformトライアルアカウントは、https://www.sap.com/japan/products/cloud-platform.html から「無償評価版を試してみる」ボタンで申し込みを開始できます。詳細手順は、チュートリアル「Get a Free Trial Account on SAP Cloud Platform」を参照ください。
トライアルアカウントは、30 日間使用可能です。トライアル期間は、最大 90 日まで延長できます。この期間に達すると、アカウントは自動的に削除されます。
1-1) SAP Cloud Platform での SAP Intelligent Robotic Process Automation のサブスクライブ
- ブラウザで、SAP Cloud Platform Trial Cockpitをオープンし、登録した自身の電子メールとパスワードを入力
- WelcomeページのEnter Your Trial Accountをクリック
- サブアカウント Trial に移動
1-2) 権限とトラストの管理
- 画面上部の階層リンクを使って、サブアカウント Trial に移動
- Security > Role Collections をオープンし、画面右上の + をクリック
- 作成した Role Collectionをクリック
- 画面右上のEditをクリックし、Role Name の入力項目をクリック
- Role IRPAOfficerを検索し、選択、Addをクリック
- Saveボタンをクリックして、Role Collection を保存
- サブアカウント Trial に移動し、 Security > Trust Configuration をオープンし、app.default をクリック
- 自分のメールアドレスを入力、Show Assignmentsをクリックし、Assign Role Collection をクリック
- IRPAOfficerを選択し、Assign Role Collectionをクリック
- Role Collection IRPAOfficerが割り当てられたことを確認
1-3) SAP Intelligent Robotic Process Automation Factoryの開始
- サブアカウント Trial に移動し、Subscriptions をクリック、SAP Intelligent Robotics Process Automation Trial の Go to application リンクをクリック
- SAP Intelligent Robotics Process Automation Factory のHomeページがオープン
ここまでで、最初のステップ Cloud Factoryの設定は終了です。次に、オンプレミスコンポーネントのインストールを行いましょう。
2) Windows PCで SAP Intelligent RPAのオンプレミスコンポーネントをインストール
2-1) 前提条件
SAP Intelligent Robotic Process Automation オンプレミスコンポーネントをインストールする前に以下のことが必要になります。
- 管理者権限が必要です。
- 以下のエレメントがマシンにインストールされていることを確認してください。
- Microsoft Internet Explorer 11
- Microsoft.NET Framework 4.7.2
- インストールされているかを確認する方法は、「方法: インストールされている .NET Framework バージョンを確認する」を参照
- Microsoft の Web サイトで入手可能な、Microsoft Visual C++ 2013 Redistributable Package x86 (Desktop Studio でのみ必要、Agent の場合は不要)
- インストールされているかを確認する方法は、Control Panel > Uninstall a program
- Visual Studio 2019 用のリモートツール (Desktop Studio でのみ必要、Agent の場合は不要)。詳細については、Remote Tools For Visual Studio 2019 のインストール を参照してください。
- インストールされているかを確認する方法は、Control Panel > Uninstall a program
2-2) オンプレミスコンポーネントのダウンロードとインストール
ここでは、SAP Intelligent RPAの契約を持っている場合を解説しますが、無償のコンポーネントをダウンロードしてインストールする場合もほぼ同様です。
無償のコンポーネントは、https://tools.hana.ondemand.com/#cloud に行き、その中のSAP Intelligent Robotic Process Automation: Desktop Components for Trial からダウンロードできますが、最新のバージョンではないことにご注意ください。
- SAP Intelligent Robotic Process Automation のオンプレミスコンポーネントをダウンロードするには、SAP ソフトウェアダウンロードページ に移動
- SAP INTL PROC AUTOM OP 1.0 > INTL PROC AUTOM STUDIO OP 1.0 に行き、最新のパッチレベルのMSIファイルをクリックし、ダウンロード。このブログの執筆時点では、パッチレベル 15 が最新でした。
- ダウンロードしたファイルINT_RPA_STUDIO00P_15-80004527.MSIを実行
- デフォルトでは、Desktop Agentのみのインストールとなっています
- Desktop Studioのアイコンをクリックし、Will be installed on local hard driveあるいは、Entire feature will be installed on local hard driveを選択
- Desktop AgentとDesktop Studioの両方が選択されていることを確認し、Nextをクリックしていくことで、インストールを完了
2-3) Desktop Studio の必須要件
SAP Intelligent Robotic Process Automation Desktop Studio を使用する場合は、インストールを完了するために、いくつかの追加ステップを実行する必要があります。
2-3-1) ソースコード比較ツールのインストール
- http://kdiff3.sourceforge.net/ に移動して、画面左のメニューから Download に行き、最新の KDiff3 バージョンをダウンロードし、インストール
- Desktop Studioを起動し、File > Settings を選択
- タブ Workflow に行き、画面を下にスクロール、Merge Toolの…ボタンから、KDiff3の実行ファイルを指定
- Merge Command Line のメニューで KDiff3 を選択し、Saveボタンをクリック
2-3-2) Web ブラウザの設定
Google Chrome
- Google Chrome を開き、右上の…ボタンをクリック、その他のツール > 拡張機能、SAP Intelligent RPA 拡張機能を有効化
Internet Explorer
- Internet Explorer を開き、ツール > アドオンの管理 > アドオン CxWebBho3 Class を有効化
- ツール > インターネット オプション > 詳細設定を選択
- ブラウズセクションで、以下の設定オプションが選択されていることを確認
- サードパーティ製のブラウザー拡張を有効にする*
- セキュリティセクションで、以下の設定オプションが選択されていることを確認
- マイ コンピューターでの、CD のアクティブ コンテンツの実行を許可する*
- マイ コンピューターのファイルでのアクティブ コンテンツの実行を許可する*
- TLS 1.2 の使用
- 適用をクリックします
- ブラウズセクションで、以下の設定オプションが選択されていることを確認
- ツール > インターネット オプション > セキュリティを選択
- ローカル イントラネット > レベルのカスタマイズ…をクリック
- 設定 > スクリプトで、アクティブ スクリプトを有効にする、になっていることを確認
- OK をクリックして変更を適用し、セキュリティ設定 – ローカル イントラネット ゾーンを終了
- 適用をクリックし、OK をクリックしてインターネット オプションを終了
- Internet Explorer を終了
2-3-3) 簡易インストールチェック
- Desktop Studio を起動し、File > New Project で、新規プロジェクトを登録
- プロジェクト名 (myFirstProject など)、タイトル、およびクライアント名 (自社名など、例: SAP)を入力、Saveボタンクリック
- Debug > Build、あるいは、Buildボタンをクリック
- 以下のように、Build done : 0 error(s), 0 waring(s). となるはずです。
もし、 “Error: Java is not available, neither the bundled nor a global one”というエラーになったら、Windows OS の環境変数に原因がある可能性があります。以下のNoteを参照してください。- Note 2868017 – “Error: Java is not available, neither the bundled nor a global one” error when attempting to build a project
- Debug > Debug、あるいは、Debugボタンをクリック
- Desktop Agent テナント登録ウィンドウがポップアップ表示されたら、以下を入力します。
- テナントの名前(例えば、MyTrial)
- 接続先の SAP Intelligent Robotic Process Automation Factory テナント URL
- ログオン画面が出てくるので、SAP Cloud Platform のユーザ名/パスワードを入力。以下のように、テナントが登録されます。なお、このテナントの情報は、C:\ProgramData\SAP\Intelligent RPA\tenants にファイルとして保存されます。
- デバッガーをStopボタンで停止
まとめと参考情報
本ブログでは、SAP Intelligent RPAを始めるにあたって最初に行うべきインストレーションの手順を示しました。
次回のブログでは、事前定義済コンテンツのひとつを動作させる手順を解説したいと思います。
最後に、参考情報として、SAP Intelligent RPAに関連するリンク情報を記載します。
- 日本語の概要紹介ブログ
- SAP Intelligent RPA のヘルプサイト、インストールガイド、Desktop Studio入門