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Technical Articles

SAP HANA Cloud 管理ツールのご紹介(その1)

はじめに

このブログでは、HANA Cloudを運用する上で必要な管理を行うためのツールと、操作方法について紹介します。
SAP HANA Cloudは、従来オンプレミスタイプ(アプライアンス、もしくはIaaS上に配置)でご利用いただいていたSAP HANA の機能をそのままをクラウドサービスとして提供していたHANA Servicesの後継として、2020年からサービスが開始されました。この二つのデータベースサービスは、いずれもSAP Cloud Platform のサービスの一つとして提供されています。以前のHANA Servicesはオンプレミスタイプで提供していた SAP HANAのコードをそのままSAPがクラウド上で運用、その機能をお客様に提供していましたので、基本的な機能はオンプレミスタイプのSAP HANAとほぼ同一でした。しかしSAP HANA Cloudは、クラウドでデータベースサービスを利用するうえで求められる機能性を加え、一方でSAP Cloud Platformのサービスとして利用できる一部の機能を削減する事で効率を高めるなど、クラウドサービスのための専用のプログラムコードにより提供されています。ここではHANA Cloudの主要な管理業務について二回に分けてご紹介いたします。なお、当記事の一部はこちらの英文のブログも参考にしていますので、併せてご参照いただければと思います。なお、ここでご紹介しているHANA Cockpitは現在も鋭意機能改定が行われているため、表記の変更が行われる場合がありますので、ご留意ください。
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管理作業の種類について

本ブログでは、以下の管理作業についてご紹介します。
  • Database Infoの確認
  • Services の管理
  • Alerts
  • Performance Monitoring

また、次のブログで以下について取り上げる予定です。

  • Monitoring Sessions, Threads, Statements
  • Database Backups
  • System Configuration

 

ツールの紹介ーHANA Cockpit

このブログで紹介する操作は、全てHANA CockpitというWebベースのツールで行います。オンプレミスのSAP HANAにもHANA Cockpitという管理ツールがありますが、基本的に同じツールであり、データベースレベルの管理と監視のためのさまざまな機能への単一のアクセスポイントを提供します。ただし、オンプレで提供されていた機能全てがHANA Cloudで利用できるわけではありませんので、ご注意下さい。それでは、そのHANA Cockpitにアクセスしてみましょう。
HANA Cloudは前述の通り、SAPのクラウドサービスであるSAP Cloud Platformの一つのサービスです。HANA Cloudの使用を開始するためにはSAP Cloud Platformの管理ツールである、SAP Cloud Platform Cockpit(名前が似ていてややこしいですが、先ほどのHANA Cockpitとは異なる事にご注意下さい)にてHANA Cloudのインスタンスを作成する事で利用する事ができるようになります。この手順に関しては通常のHANA Cloudをご利用になる場合のブログ、もしくはHANA CloudのFree Trial版をご利用になる場合のブログをご参照ください。
SAP Cloud Platform Cockpit でインスタンスの作成が完了したら、下の図のようなカードが表示されているはずです。カードの右下の「Open In(別アプリで開く)」をプルダウンし、SAP HANA Cockpitを選択します。
初めてログインする場合は、ログインが求められます。HANA Cloudの最上位の管理者ユーザの名前は「DBADMIN」です。当ブログでは機能を紹介する事が目的なので、このDBADMINでログインしている事を前提としますが、実際の運用に際しては職務(ユーザ管理、システム管理など)に応じて最低限度の権限を与えたユーザを作成してお使いいただく事を強く推奨いたします。
ログインが完了すると下の画面のようなSAP HANA Cockpitが起動し、最初のDatabase Overview画面が表示されます。この画面に、以降でご紹介する管理機能がカテゴリ毎に「タイル」でグループ化されています。また、このタイルをクリックする事で各機能にアクセスする事が可能になります。左上にプルダウンボタンがあり(最初の場合はALLが選ばれているはずです)、このプルダウンから機能のカテゴリごとに表示するタイルをフィルタさせる事もできます。なお、タイルの配置はマウスによりドラッグアンドドロップで自由に並び替える事もできますので、使いやすい様にカスタマイズしてみて下さい。
それでは、ここから各項目を見ていきましょう。
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Database Informationの確認

Database OverviewにあるDatabase Informationを確認してみましょう。このタイル上にはSAP HANAのバージョン、最後の更新時刻、インストールされているHANAプラグインを確認する事ができます。
タイルをクリックする事でインスタンスが作成された時間、最後の再起動の時間、マルチホストの設定の情報が追加されています。また、SAP HANA Version Historyではバージョンアップの履歴、Installed Plugins Detailsではプラグインの詳細を確認する事ができます。プラグインの例としては、PAL (Predictive Analysis Library)、APL (Automated Predictive Library)、EML (External Machine Learning Library) などの Application Function Libraries (AFL) や、Information Access (InA) サービスを使用して SAP HANA information modelに直接接続するために、SAP BusinessObjects などのBIアプリケーションに必要な Enterprise Performance Management Multidimensional Services (EPM-MDS) などがあります。
オンプレミスタイプのSAP HANAのバージョンは記事執筆の2020年8月時点でHANA 2.0 SPS 05になります。一方、SAP HANA Cloudはオンプレミスタイプから派生した専用のコードとなり、新たなバージョン番号である「HANA 4.0」が与えられています。
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Serviceの管理

Database Information画面から、一度Database Overview画面の戻りましょう。下の図の赤丸にある「<」ボタンを押して遷移したルートで戻る方法と、上部中央にあるナビゲーションボタンを使ってDatabase Overviewを選択する事でも戻る事ができます。また、目的の画面の名称がわかるようであれば、このナビゲーションボタンで現れる下端の 「Search for Applications」で直接指定する事も出来ます(次のセクションの名称は「Manage Service」です)。
次はDatabase Overview画面にある「Services」をご紹介します。Database Overview画面では、HANA Cloudの機能を構成するいくつかのサービスが、正常に動作していれば緑色で「□Running」と表示されます。このタイルをクリックしてください。
Manage Servicesウインドウが開きます。ここではHANA Cloud データベースサービスを構成するサービス(OS上のプロセスに該当)のステイタスが表示されます(右上の歯車アイコンで表示させるステイタスの変更も可能)。
左上にH00と表示されているのは、オンプレミスモデルのSAP HANAのテナントデータベースに該当する名前になります。HANA Cloudではこのテナントデータベースの機能は提供していません(今後の予定もありません)ので、HANA Serviceにおいては常に「H00」が表示されます。
サービスは、状況により必要に応じて停止させる事もできますが、基本的には全て「□Running」と表示されている状況が健全です。以下に各サービスの役割を簡単に示します。
サービス名 概略
daemon HANA サービスの起動を管理します。障害を自動的に検出し、indexserver、nameserverなどが停止した場合にサービスプロセスを再起動します。
nameserver システムデータベースで実行され、HANAシステムのトポロジに関する情報を管理します。
compileserver ストアドプロシージャやプログラム(SQLScriptプロシージャなど)のコンパイルを実行します。
indexserver 実データの管理とデータを処理するためのエンジンです。
dpserver SAP HANA Smart Data Integration機能を提供します。
diserver 設計時のアーティファクトのSAP HANAデータベースへのデプロイメント(HDI)を処理します。

Alerts

再度Database Overview画面まで戻り、「Alerts」のタイルを確認します。もし、障害が発生したり、あらかじめ設定した指標に抵触した場合はその状況を表示します。詳細は、このタイルをクリックします。
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エラーや警告等のリスト画面が表示されます。必要な情報をフィルタするために、以下の様な条件を設定する事ができます。
  • Type:  Past and Present
  • Priority:  Error, High, Medium, Low, Information
  • Time:   24 hours, 7 days, last 30 days, range, none
  • Category   CPU, Disk, Memory, Security, Availability
リストされた警告の行をクリックすると、詳細を確認する事ができます。
警告の契機は「Alert Definition」のリンクから、設定画面に移動し、設定する事ができます。
リストされているのはプリセットされた警告の契機の定義になります。各定義の詳細は、オンプレミスモデルのHANA(HANA Platform)と同等になりますので、こちらのマニュアルを参考にして下さい。また、以下のSAP Knowledge Base Articleにも詳しい説明が掲載されています。
メモリの使用量や、ストレージの使用量、ホストのCPUの使用率などに対して閾値を設定する事ができます。例えばCPUの使用率を例に見てみましょう。リストの中から「Host CPU Usage」を選択し、クリックします。
右のペインに警告の閾値として「High」「Medium」「Low」の3つの値を設定できる事と、検知する周期が表示されています。業務のニーズに応じて閾値を変えていただく事も可能です。
Alert機能に関する、オンプレミスとの相違点としてメールによる通知機能があります。オンプレではHANAシステム自体の管理の主幹はお客様がご担当いただく事になりますので、障害検知の通知をメールでお知らせする機能がありますが、HANA Cloudでは今のところ提供されていません。
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Performance Monitoring

再度Database Overview画面まで戻ります。この項ではHANA Cloudの管理に使用する複数の Monitoring の機能をご紹介します。関連したタイルを表示させるために、左上のプルダウンボタンにより「Monitoring」を選択し、タイルの表示をフィルタします。
リストされたタイルは、システム概要に関するものと、パフォーマンス監視のための以下の機能を提供します。
  • CPU、ディスク、メモリに関するパフォーマンスモニタービュー
  • パフォーマンス比較
  • パフォーマンスデータのエクスポートとインポート
  • SQLアナライザー
  • その他

これらを使い、以下の管理が可能です。

  • ワークロードの分析(CPU、ディスク、メモリ)
  • メモリ領域管理
  • Native Storage Extention(NSE)で使用するバッファーキャッシュのモニタリング
  • メモリページングモニターとロードユニット構成の操作方法

 

主要な機能を提供するタイルとして、CPU使用率、メモリ使用量、ディスク使用率、そしてモニタリング機能へのリンクを含むものがあります。タイルには主要なモニタリング指針となるグラフが表示されていますので、リソースに関する状況を俯瞰する事ができます。それぞれのタイルを選択するとそれぞれに対応する詳しいビューが表示されます。

CPU Usage、Disk Usage、Memory Usageの各タイルの下端と、Monitoringタイルの中に「Monitor performance」へのリンクが確認できます。いずれかのリンクをクリックし、モニタしたいリソースに関する状況を確認してみましょう。このブログの手順としては、Monitoringタイルからリンクをクリックする事にします。
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Monitoringタイルから起動した場合は左上のプルダウンが「Default」で表示され、CPU Usage、Disk Usage、Memory Usageの各タイルから起動すると、それぞれのリソースがフィルタされて表示されます。

画面上部は、指定期間のリソースの使用率をグラフで、左下にはそのグラフに表示するKPIの情報が表示されます。その表示の右上にある「KPI’s」をクリックすると、さらに多くのKPIを選択できますので、モニタリング対象を追加する事ができます。また上部のグラフ内でマウスをドラッグする事で、一部の期間を選択でき、その期間を拡大したものが右下のグラフ領域に表示されます。またそのドラッグしたエリアの中に小さな天秤のアイコンが表示されます(下のイメージの赤枠内)。これをクリックすると「Performance Comparison」へ遷移し、リソースのグラフを比較する事ができます。これにより、異なる時間帯とのパフォーマンス履歴を比較する事がで、システムに変更を加える場合の前後の傾向を比較する事などが可能になります。

 

グラフの表示は上端にあるFrom と Toで指定する事ができます。なお、履歴の保存期間はHANA Cloudのパラメータ load_monitor_granularity および load_monitor_max_samples により制御され、デフォルトで11日~12日分(1000000秒)となります。詳細は NOTE 2222110 – FAQ: SAP HANA Load History を参照してください。

このグラフ(履歴データ)をファイルとしてエクスポートし保存する事も可能です。右上にある下向き矢印のアイコン(下のイメージの赤枠内)をクリックしExportボタンを押すと、履歴データ(内容は下のイメージのダイアログボックスにリストされるシステムビューのデータと同一です)をZIPファイルとして出力します。保存したZIPファイルは、先ほどのエクスポートのアイコンの左にあるインポートアイコンで直接読み込む事ができますので、テストデータなどの保存や、比較データとして利用する事が可能です。

 

今回のブログはここまでになります。

 

 

 

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