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S/4HANA、およびS/4HANA Cloudでは、Flexible Workflowというワークフローがあることをご存知でしょうか?何が、Flexibleなのか、従来のBusiness Workflowとどう違うのかといった疑問が最初に頭に浮かぶのではないでしょうか?

本ブログでは、Flexible Workflowの概要、例として、購買依頼の承認ワークフローの設定と動作検証を解説します。最後に、数多くのブログや情報ソースがありますので、これらへのリンクも記載します。

全体として、Flexible Workflowの概要の理解に参考になれば幸いです。

Flexible Workflow 概要


従来、SAP S/4HANA、SAP ERPのワークフローと言えば、Business Workflowでした。しかし、開発ツールはあくまでIT向けであり、業務側でワークフローをデザインし実装することが難しいといった問題がありました。この問題を解決するために、ワークフローのデザインツールをFioriアプリとして提供し、業務ユーザが柔軟にワークフローを定義できるようにアプローチを変更したものが、Flexible Workflowです。

すなわち、Flexible Workflowは、従来のBusiness Workflowの柔軟性の欠如を解消するために開発されたワークフロー技術であり、S/4HANA On-PremiseおよびS/4HANA Cloudで利用できます。S/4HANA On-Premiseでは、従来のBusiness Workflowも利用可能ですが、Flexible Workflowの利用が推奨されています。

なお、より複雑なワークフローや、複数のアプリケーションをまたがるワークフローについては、SAP Cloud Platform Workflowの利用が推奨されます。

シナリオ


以下は、S/4HANA Cloud リリース1908で提供されているシナリオの一覧です。シナリオの数はリリースに従って拡大しているため、最新状況については、オンラインヘルプのWhat's New等で確認ください。また、FioriアプリManage Workflowsからもシナリオを参照できます。


購買依頼承認ワークフローの設定例


S/4HANA Cloud リリース1908の環境で、購買依頼の簡単な承認ワークフローを設定し動作を検証しました。その手順の概略を以下に記します。

前提となる設定の確認


購買依頼の伝票タイプ NB に対してシナリオベース Workflow が有効になっていることを確認します。

ソリューション管理アプリから、ソリューション設定を選択、アプリケーションエリア Sourcing and Procurement、サブアプリケーションエリア Operational Procurement、アイテム名 要件処理を選択、設定ステップ、1.有効化:購買依頼のフレキシブルワークフローのアクション 設定 をクリックします。



 

購買依頼のワークフロー管理アプリを利用してワークフローを定義


購買依頼のワークフロー管理アプリ(Manage Workflow for Purchase Requisitions)を開始します。



上部のメニューから購買明細依頼の承認を選択します。



画面上部の追加ボタンで新規ワークフローを追加します。



ワークフロー名、有効開始、終了を入力します。



開始条件をメニューから選択し、設定します。様々な条件を組み合わせることが出来ますが、今回は、簡便にプラントが1010であることを指定します。



ステップ順序の追加ボタンで、ステップを追加します。



新規ステップの画面に遷移します。ヘッダでステップ名を定義したら、次にステップの受信者を定義します。割当基準としてロールを選択すると、ワークフロー開始者のマネージャなどを設定できますが、



ここでは、簡便な方法としてユーザを選択し、承認者のユーザを指定します。



さらに、ステップの開始条件、期限、例外処理を定義できますが今回は省略します。ここまでで、新規ワークフローの定義は完了です。保存ボタン、有効化ボタンで保存、有効化します。



全体として、新規に作成したワークフロー New Workflow Demo Plant 1010 を含め、購買依頼明細の承認に関しては7つのワークフローが定義されています。Flexible Workflowでは、図の2列目の順序の順番でワークフローの開始条件がチェックされ、最初に条件を満たされたワークフローだけが実行されます。それぞれ異なる開始条件を持つワークフローを必要に応じて追加でき、また、順序定義ボタンで順序を変更できるため、非常に柔軟にワークフローを定義することが出来るようになっています。



以上でワークフロー設定は終了です。今回は、1ステップだけの承認を定義しましたが、ステップを追加することで何段階での承認も設定できます。全体として、非常にシンプルな操作でワークフローを定義できることをご理解いただけたかと思います。

購買依頼の登録と承認ワークフローの実行


ワークフロー設定が完了したので、実際に購買依頼を登録して、ワークフローの動作を確認します。

1. 購買依頼の登録


購買依頼登録アプリ (Create Purchase Requisition)を開始し、自社明細登録を選択、品目、数量を入力し、カートに追加ボタンをクリックし、最後に発注ボタンをクリックし、購買依頼を登録します。


2. 承認者による承認


承認者は、受信ボックスアプリ(My Inbox)あるいは、Launchpadの通知を介して、承認すべきタスクにアクセスします。



ログ表示ボタンによって、ワークフローログを表示できます。



承認ボタンをクリックし、決定メモを入力し、送信します。



以上でワークフローは完了です。

購買依頼管理アプリによって、誰が何時この伝票を承認したのかをその場で確認できます。統制管理の観点においても非常に効率的です。



さらに、各ステップの詳細も確認できます。



 

関連情報


Flexible Workflowに関しての詳細や、他のワークフローとの比較などについて理解したい方には、以下のBlogを推奨します。

S/4HANA On-Premiseでは、従来のBusiness Workflowは、ワークフロービルダ(トランザクションコードSWDD)で開発していましたが、Flexible Workflowでは、シナリオエディタ(トランザクションコードSWDD_SCENARIO、あるいは参照用のSWDD_SCENARIO_DISP)を利用して開発します。トランザクションコードSWDDではワークフローのステップや受信者までも定義していましたが、シナリオエディタでは、これらの定義は、Fioriアプリ側でデザインするようになっています。開発の詳細については、以下のBlogが参考になります。

その他、参考になると思われる情報ソースを示します。

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