SAP Leonardo IoT のエッジソリューション SAP Edge Services 関連プレスリリース
2017年1月、SAPは SAP Leonardo を発表しました。この時点では SAP Leonardo は IoT ソリューションのブランディングでした。
その後、SAP Leonardo は IoT だけでなく、機会学習、ブロックチェーン、データインテリジェンス、ビッグデータアナリティクスなどを包括するブランドソリューションに拡張されました。
SAP Edge Service は、SAP Leonardo IoT の Edge ソリューションにカテゴライズされている製品で、
2016年10月に発表されたDynamic Edge Processing
https://news.sap.com/2016/10/new-sap-iot-offerings-enable-transformative-business-value/
の名称変更版である、SAP Edge Services, on-premise version と ( 2018年4月に名称変更されました )、
SAP Cloud Platform の Internet Of Things service によるクラウドマネージド版である、SAP Edge Services, cloud edition (2017年7月11日に「SAP Leonardo Live」 のイベントに合わせて発表)との 2 種類があります。
SAP の様々なアプリケーションとの連携が計画されています。
2018/5/15 に米国カリフォルニア州サンタクララ・コンベンション・センターで行われた Internet of Things Worldに合わせて発表された以下のプレスリリースでは、SAP Edge Services + AIN (SAP Asset Intelligent Network)との連携を発表しています。
SAP Adds Edge Services for Connected Assets and Smart KPIs for Application Enablement
これにてついては、日本でも 2018/6/22に発表しました。
実は、SAP Edge Service, cloud edition とは何か、に関する発表が日本語でされていないため、
2017年7月11日に「SAP Leonardo Live」 のイベントに合わせて発表された SAP Launches New IoT Solutions at SAP Leonardo Live」と「Introducing SAP Edge Services: Going Digital at the Edge with SAP Leonardo」のうち、
「Introducing SAP Edge Services: Going Digital at the Edge with SAP Leonardo」の抄訳を以下に記載します。
SAP、SAP Edge Serviceを発表。SAP Leonardoにエッジ向け製品を投入しデジタル化を加速。
SAPPHIRE NOW 2017において、SAPはお客様のビジネスを大幅に革新、再定義する、デジタルビジネスシステムとしての SAP Leonardo を発表しました。
これは、「SoR(systems of record, 記録のシステム)」、つまりERPやCRMなど、ワークフローやビジネスプロセス、記録の管理にフォーカスする全てのバックエンドシステムを、大量のデータに基づいてこれらを自動的に検出、解釈、それに基づきアクションを起こす 「systems of intelligence」 に変換することであらゆるビジネスを「デジタルトランスフォーメーション」に導く素晴らしいソリューションポートフォリオです。
それでは、そのデータはどこから来るのか、またそのデータに基づいてどうアクションがとられるのでしょうか?モノのインターネット(IoT)こそが、まさにキーとなる立役者です。なぜならば、昨今あまりにも大量のデータが地理的に分散したセンサー付き「インテリジェント」デバイスや設備、例えば車両、コンテナ、製造機械、ツールなどによって生成されています。また、これらが世界中で作成、出荷、監視されています。一方で IoTで生成されたデータの 45% はネットワークのエッジ、またはそれに近いところで格納、処理、分析、そしてそれに基づいたアクションがとられているといわれています。これは逆説的に言うと、世界がリアルタイム通信によって小さく感じられるようになる一方で、全てがコネクテッドになりつつある結果利用可能になるこれらの大量のデータセットが原因で、世界はより複雑に拡大していると言えます。
重要なことは、必要なシグナルとともに入ってくるあらゆるノイズに惑わされることなく、必要なシグナルのみをキャプチャし、それに基づきアクションを起こすことです。これはつまりリアルタイムデータ処理は、実際にデータが生成されるネットワークのエッジでこそ必要であることを意味します。もしインサイトを得ることもなく、アクションをとることもなく、明日捨てられるためだけに、毎日何兆単位でデータを伝送するのであれば、まったく意味はありません。では、地理的に分散した大量のデータからアクション可能なインサイトを得るための最善の方法は何でしょうか。
ここで、紹介するのがSAP Leonardo IoT のエッジ向けソリューションを拡張する新たなSAP Edge Servicesです。SAP Edge Servicesとは、ネットワークのエッジ、つまりデータが生成される場所のそばでビジネスコンテキストとインテリジェンスを利用できるようにするものです。このコンセプトを次のシナリオ例で説明します。いくつかの倉庫管理を担当しているとします。その倉庫では、何百ものコンベヤーを使用し、製造した商品のオーダーフルフィルメントのマテリアルフローを最適化しています。中央に一元化されたリアルタイムデータへのアクセスを持つことで、キャパシティ — 例えば、何パーセントのコンベヤーキャパシティがそれぞれ異なる時間に使用されているか、使用パターン — 例えばいつどのようにそれぞれのコンベヤーが使用されているか、コンプライアンス — 例えばそれぞれのコンベヤーが仕様に忠実に正確にオーダーを完了させているかどうか、などを判断する場合に価値があります。
しかし、データ処理、分析を行うためにこの生成されたデータを全てクラウドに送ると何が起こるでしょうか。クラウドに伝送するのは経済的に現実的でしょうか?もし何等かの理由でコネクティビティが失われたら?例えばノンコンプライアンスなどのインシデントが発生し、そのデータが他の通常どおりのデータと同様に扱われた場合、インシデントとして認識されるまでにどれくらいかかるでしょうか?これらの疑問の回答はすぐイメージできるでしょう。特にあらゆるものがコネクテッドの世界における「ダンプパイプ」データ伝送は、高額、低速、そして切断しやすいものです。
SAP Edge Service の一連の機能であるマイクロサービスの利用シナリオを説明します。まず、ビジネスエッセンシャル機能について説明します。これは、例えば、作業指図書などのように既存のビジネスプロセスをエンリッチ化し、アクションをトリガーするために、バックエンドシステムと統合し、データをコンテキスト化するものです。次に、パーシステンスサービスとは、どのデータをローカルのエッジに格納するのか設定し、データのエージングポリシーを実装するために使用します。また、ストリーミングサービスは、調整可能な時間ウィンドウ間で、定義可能な条件に基づきデータストリームの分析を行い、イベントの自動化のベースとなるパターンを識別します。例えば、ある特定の条件時に、適切な担当者に通知を送信することができます。また、さらなる調査が必要な場合には、より高度な分析をトリガーすることも可能です。例えば、アラートがクラウドに送信されると、そのアラートにコンテキスト的に関連する、事前に選択したデータの分析を行うというようなことが可能です。
これは、あくまでも SAP Edge Serviceで可能な1つの利用例です。SAP Edge Serviceの重要な利点は、ビジネスコンテキストとインテリジェンスが、データが生成された場所に近いエッジで利用可能になることであり、データの遅延、帯域幅、コスト、その他多くの課題を解決することです。地理的に分散したデータでは、さらにその他の要件、例えばデータのオーナーシップ、その国や地域特有の規制、プライバシーなどの課題があります。こういった課題も解決することが可能です。エッジのパワーとクラウドのパワーを組み合わせて利用できるので、ほぼリアルタイムの処理と業務プロセスの絶対的なパフォーマンスを実現するという、エッジとクラウドの両方の世界を効果的にベストな形で融合させるソリューションです。
最後に、SAP Edge Serviceは、クラウドからポリシーを設定して配布し、エッジで生データに対してビジネスのコンテキストを付加、エンリッチ化し、意思決定に有効な意味のあるインサイトに変換することが可能なソリューションです。データを毎回クラウドと往復させることなく、瞬時にビジネスアクションをトリガーします。これはデジタル化をさらに強力に促進するソリューションです。
SAP Edge Serviceについてはこちら
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SAP Edge Services では、エッジのサーバーや IoT ゲートウェイハードの上で稼働する軽量・高性能RDBMS 「SAP SQL Anywhere」と、CEPライト版「SAP Streaming Lite」によって、センサーデータが発生するエッジでデータ処理をするとともに、SAP SQL Anywhere 上で、SAP ERP などのアプリケーション機能を一部実行することが可能です。また、ここで実行・変更・保存されたデータは、SAP SQL Anywhere の「Mobile Link」というデータ同期技術により、SAP ERP側RDBMS のステージングテーブルと随時同期することが可能です。
または、クラウド側のHANAとデータ同期し、より深い分析を行うことも可能です。
昨年の 2017 年のHannover Messeでは、Machine Learning Process のエリアで、Manufacturing 系ソリューションとの連携が展示されました。
今後も様々な SAP Application の機能をエッジで利用するための連携が計画されていますので、今後の進化にご注目ください。