この文書はSAP Community Network掲載のSAP BI Upgrade Series『BI4 How To: Planning the Desktop Intelligence conversion to Web Intelligence』を日本語化した文書です。
この文書ではSAP BusinessObjects Desktop Intelligenceの作成済みドキュメントをSAP BusinessObjects Web Intelligence形式のドキュメントへと変換するためのベストプラクティスをまとめています。この文書では変換作業における各タスクで考慮すべき要点事項について説明していますが、実際の作業実施にあたってはSAP BusinessObjects Business Intelligence付属の関連マニュアルにて手順等の詳細を必ず確認してください。
SAPはDesktop Intelligenceの提供終了を発表しており、SAP BusinessObjects Business Intelligenceバージョン4以降のリリースにはDesktop Intelligenceは含まれません。
Desktop Intelligence提供終了に関する正式アナウンスおよび詳細についてはこちらの文書を参照して下さい。
なお、BusinessObjects XI 3.1のDesktop Intelligenceのメインストリームメンテナンスは2015年12月31日まで、プライオリティワンサポートは2017年12月31日まで継続します。
Desktop IntelligenceドキュメントをWeb Intelligence形式へと変換することにより、以下のメリットが得られます。
レポート変換作業は以下の点を考慮して計画します。
Desktop Intelligence Compatibility Packを使用すると、Desktop Intelligence クライアントをBusinessObjects BI 4.1環境に接続させ、既存のDesktop IntelligenceドキュメントをBusinessObjects BI 4.1(BI 4.0は対象外であることに注意してください)の CMS にエクスポートできます。これによりBusinessObjects XI プラットフォームから新しい BusinessObjects BI プラットフォームへのアップグレード作業を効率的に進めることができます。
Desktop Intelligence Compatibility Packの詳細については、こちらを参照してください。
BusinessObjects BI 4.1クライアントインストールにはレポート変換ツールが含まれています。このツールは、Desktop Intelligenceドキュメント から Web Intelligenceドキュメント への変換をサポートします。使用方法については、この文書内で後述します。
注記:Crystal Reports はレポート基盤がまったく異なるため、Desktop Intelligence ドキュメントを Crystal Reports形式レポートに変換することはできません。
Desktop IntelligenceとWeb Intelligenceとの最大の違いは、式の構成方法です。ロジックは変更されていませんが、式の構成が変更されており、レポート開発ユーザーはWeb Intelligenceの式を記述するために新しい構文に慣れる必要があります。また、式の構成だけでなく式の計算方法も異なります。
計算エンジンの相違点については、SAP Community Network掲載のこちらの技術文書にて詳細を確認してください。
レポート変換は大規模なプロジェクトとなるため、実施前に詳細な計画を立てることを推奨します。
下図はレポート変換プロジェクトの大まかな進め方を表したものです。
レポート変換を行う前に、以下の点を考慮しておく必要があります。
以下のステップを踏まえた計画を行うことにより、スムーズで確実なレポート変換プロセスを実現することができます。
1. 現行のBusinessObjects環境の確認
利用中のBusinessObjectsシステムのバージョンを確認し、BusinessObjects BI 4.xへの移行パスを確認します。
2. ユーザーへの影響の確認
以下のステップでDesktop Intelligenceドキュメント利用ユーザーに対する影響度を分析します。
さらに、Desktop Intelligenceの提供終了について:
3. 機能
利用中のDesktop Intelligence 機能(SQL の直接入力、グループ化、VBA など) に関する情報を収集します。
Desktop Intelligence と Web Intelligence との機能差、制約、および対処法の包括的な概要については、SAP Community Networkの関連技術文書を参照してください。
4. コンテンツの総点検と整理
レポートのアップグレードとWeb Intelligenceへの変換を行う前に、レポートの整理を行い、不要レポートのクリーンアップを行うことを強く推奨します。
レポートの移行と整理作業の時間配分を決定し、アーカイブ対象となる、利用頻度の低いレポートを識別します。
5. ユーザーによる受け入れと承認
プロジェクトのなるべく初期の段階で、レポート変換ツールを使用し、変換後に必要な修正作業のレベルを事前評価します。
つぎに、事前評価に基いて以下の作業を行うことにより、円滑な変換を実現できます。
6. ユーザーのトレーニング
講義形式トレーニングや e-ラーニングの計画、SAP Community Networkやフォーラム掲載の技術文書へのリンク提供を行い、レポート変換の影響を受けるユーザーを支援します。
また、移行にあたって必要なトレーニングやサポートについてユーザーを交えた検討を行います。
現在の Desktop Intelligence の使用状況を効果的に把握するために、変換前の一定期間、監査エンジンを有効にして実際の使用統計を収集することをお勧めします。
監査エンジンを使用して、利用中のデプロイメント内の Desktop Intelligence コンテンツで発生する多くのイベントを記録することができます。
以下の手順によりBusinessObjects XI 3.x環境でDesktop Intelligenceの監査を有効化します(XI R2環境でも同様の手順で有効化することができます)。
1. アプリケーションの編集とプロパティの監査に必要な権限を持つアカウントでセントラル管理コンソール(CMC)にログオンします。
2. CMC の[アプリケーション]メニューを選択します。
3. [Desktop Intelligence]を右クリックして[監査イベント]メニューを選択します。
4. [監査イベント]設定パネルで、次のチェックボックスが選択されていることを確認します。
5. [更新]ボタンをクリックして[監査イベント]設定パネルを閉じます。
6. CMC で[サーバー]メニューを選択し、サーバーの一覧から[Adaptive Processing Server]を右クリックして[監査イベント]メニューを選択します。
[監査を有効にする]オプションをOnに設定し、[保存して閉じる]ボタンをクリックして[監査イベント]設定パネルを閉じます。
Adaptive Processing Server の監査イベント設定により、Client Auditing Proxy を介してDesktop Intelligence クライアントの監査結果を収集できるようになります。
7. Adaptive Processing Server が複数ある場合は、以上の設定をすべての Adaptive Processing Server に適用します。
8. CMCの[サーバー]メニューで[Adaptive Processing Server]のプロパティを確認すると、下図のように表示されます。
収集した監査データは、製品付属のユニバースを使用し、Desktop IntelligenceやWeb Intelligenceから参照することができます。
1. Desktop InelligenceまたはWeb Intelligenceから[Activity]ユニバースを選択します。
2. Desktop Intelligence の使用状況を確認するためのレポートを作成します。
(参考情報)
BusinessObjects BI 4.0以降にはデフォルトの監査ユニバースおよびレポートは付属していません。SAP Community Networkに公開されているサンプル監査ユニバースおよびレポートをダウンロードし、BusinessObjects BI 4.xシステムにインポートすることにより、これを利用することができます。
SAP BusinessObjects クライアントインストール内にあるレポート変換ツール (RCT) を使用すると、既存のドキュメントを Desktop Intelligence から Web Intelligence に変換できます。
レポート変換ツールは、次の領域でユーザーを支援します。
(バージョンによっては変換元と変換先が同じでもかまいません)
レポート変換ツールを使用して、レポート変換の成功率を測定できます。
RCT で処理されるレポートは、次の 3 種類の出力に分類できます。
変換元レポートが完全に Web Intelligence 形式に変換できることを意味します。ただし、これは必ずしも 100% の変換率を意味するものではありません。手作業による多少の修正が必要になることもあります。
変換元レポートが Web Intelligence 形式に一部だけ変換できることを意味します。この場合は手作業による多少の修正が確実に必要となります。
変換元レポートが変換できないことを意味します。その主な原因は、Desk Intelligence の機能が Web Intelligence にないためです。
レポート変換の監査トレース取得を有効化することにより、修正が見込まれる箇所を文書別、レイアウトコンポーネント別に記録することができます。
RCT 監査証跡は、CMS 内に保存されている接続設定を使用してデフォルトの AUDIT データスキーマ内の特殊なテーブルに保存されます。また、監査データを参照するためのデフォルトユニバースとドキュメントが用意されています。
レポートを少数ずつ複数回に分けて変換する場合は、レポート変換処理の監査設定にコメントを入力しておくことにより、監査トレース上で各回の実行結果をレビューしやすくなります。
また、テーブル内の旧データをすべて削除するとき以外は、[以前の行を監査テーブルに保持する]の設定を有効にすることをお勧めします。
レポート変換の監査データは監査データベース内に保存され、BIプラットフォームのインストールに含まれているデフォルトのユニバース「Report Conversion Tool Audit Universe」とレポート「Report Conversion Tool Audit Statistics Report」を使用して詳細な情報が得ることができます。
一部のみ変換が行われたレポートについては、各オブジェクトの正確なエラーとともに、その原因が示されます。場合によっては対処法も示されます。監査証跡を使用すれば、見込まれる修正量についての詳細をあらかじめ簡単に把握でき、その情報をそれぞれのコンテンツ所有者と共有できます。
レポート変換ツールの処理ステータスが「正常に変換」となっている場合でも、Web Intelligenceにおける計算エンジンの仕様変更により、ローカル変数や式の結果がこれまでと異なる値を返す可能性があります。レポート比較機能を使用すると、変換されたドキュメントと元のドキュメントを比較し、そのような差異を確認することができます。
変換前後のドキュメント比較は以下の手順で行います。
1. レポート変換ツールで[完全に変換されたドキュメントの比較]チェックボックスを選択します。
2. 変換前後のドキュメントを並べて表示し、レポート上のデータ表示に差異がないかを確認します。
レポート変換ツールを使用した作業の最終ステップは、作成した Web Intelligence レポートをターゲットシステムである BI4.x サーバーに公開することです。デフォルトでは、RCT はレポートを元と同じフォルダに公開しますが、必要に応じてターゲットフォルダを、自分のユーザーアカウントでアクセス可能な任意のフォルダに変更できます。
ドキュメントのXI 3.x から BI 4.x へのアップグレードおよび Desktop Intelligence から Web Intelligence への変換にあたっては、次の 2つの変換パスが用意されています。
どちらのパスにも長所と短所がありますが、BI4.xのレポート変換ツールを使用する方が成功率は高く、手作業による修正の見込み量も少なくなります。これはBI 4.xのWeb Intelligenceには、Desktop Intelligence で使用頻度の高い機能がXI3.xのWeb Intelligenceよりも多く装備されており、機能上の差異が少なくなっているためです。
なお、Desktop Intelligence と Web Intelligence の総合的な機能比較については、こちらの技術文書を参照してください。
BI 4.x のレポート変換ツールを使用する場合は、はじめにアップグレードマネージメントツールを使用してDesktop Intelligenceレポートで使用されているユニバースをBI 4.xに移行しておく必要があります。ユニバースがアップグレードされていない状態で BI 4.x のレポート変換ツールを実行すると、レポートの変換に失敗します。
また、BI 4.1ではアップグレードマネージメントツールの機能強化が行われ、Desktop Intelligence レポートの移行がサポートされています。これにより、XI R2およびXI3.1環境のDesktop IntelligenceレポートをそのままBI 4.1プラットフォームへ移行した後、BI 4.1システム上でWeb Intelligenceレポートへの変換作業を順次行うことができるようになりました。
Desktop Intelligence End of Life Announcement
DeskI is not back... but here is something that will help you to move to BI 4