Additional Blogs by SAP
cancel
Showing results for 
Search instead for 
Did you mean: 
masa_139
Product and Topic Expert
Product and Topic Expert
0 Kudos

プロジェクト2週目の最後は、起業したソーシャルベンチャーを訪問して、インパクト指標のヒアリングを行いました。

インキュベーターだと現場から遠い位置にいるので、今回のベンチャー訪問で実際のストーリーが聞けて非常に楽しかったです。3ベンチャーとも違ったアプローチで社会的問題の解決に取り組んでいます。

Equal Community Foundation (ECF):


非営利団体で、女性へのドメスティックバイオレンスなどをなくし、男女平等化への活動を行っています。多くの団体が女性へのサポートを行っているのに対して、活動の対象は男性です。根本の原因は何かとつきつめると、原因は男性側という結論にたどりついたのです。男性の考えを変え、行動を変える事によって、その地域の他の男性にも影響を与えて男女平等を実現するという Theory of Change の例です。男の子が父親の行動を見て育ち、その地域の男性を見て育ち、男性上位が当たり前で女性に対して暴力を振るってもいいと思ってしまいます。10-14才程度の男の子たちに、ゲームをすると言って集め、男女平等の考えを少しづづすり込んでいくとうのが最初の活動です。その中からリードできる人を見つけて、2段階目、3段階目のプログラムを順次進めていき、今度はその子供たちが地域の仲間に活動を行っていき、最終的にはその地域からドメスティックバイオレンスをなくしていきます。地域全体を変えるには長い年月がかかります。

プログラムを卒業した男の子の数というのは OUTPUT です。そのアウトプットの影響で男性の行動が変わったというのが OUTCOME で、数値化するのが難しい領域です。シナリオ質問をだして、男の子の行動が以前よりどう変わったかという数値を導き出しています。その先にあるのがインパクト指標ですが、これがさらに難しいです。警察への暴力報告件数が増えたというのはいい兆候で、今まで言えなかった事が言えるようになった行動の変化です。

Spandhan:

営利団体です。ソーシャル業界ではめずらしく、ITを使ったソリューションです。低所得者に金銭リテラシーを教え、貯金の仕方を教え、SMSのモバイルバンキングもどきを行っています。低所得者はその日暮らしで精いっぱいで、病気になったり、子供の教育にお金が必要になったら、暴利の業者からお金を借りて、さらに貧しくなっていくという負のスパイラルに陥ります。その日暮らしでも、1円でも余裕がでたらお金を貯めていく行動に移させます。TextWeb というSMS のツールを使って、銀行の手前のプリバンキングで、簡単に使えるようにしたのがポイントです。銀行は低所得者は相手にしませんので、こういったビジネスが成り立ちます。最初の5か月間は顧客ゼロでした。ポイントは信用で、お金を預けて夜逃げされたらという不安が必ずあるからです。1人の成功事例から徐々に広げていったという長い道のりのビジネスです。利益はわかりませんが、IT企業のサポートと銀行とのパートナーでビジネスを維持できている様子でした。


インパクト指標は、今まで貯金0の低所得の1000家庭のうち、500家庭が、年間3000円の貯金ができるようになったというような指標です。



LifeLab:


非営利団体で、低所得地域の学校の教育レベルを上げる活動をしています。主に科学実験のキットを開発してハンズオンで学べるようにしています。国のカリキュラムでは本での勉強とテストがメインなので、科学実験を通して学ぶというのが抜けています。キットを作成して、学校の先生に実験の仕方を教え、さらに、どの家庭でも入手できる家庭雑貨を使って実験できる個人キットも開発しています。印象的だったのは、みんな楽しそうに実験器具の開発をしていて、この楽しさがモチベーションの1つと感じました。子供たちの成長が目に見えてわかるのが楽しいと言っていました。資金提供者のドナーが、この学校にサービス提供してほしいと言ってくるので、その資金で非営利活動しています。


インパクト指標は難しいですが、進学率とか、この実験キットを使っていない他の学校との比較という数値になるでしょう。訪問日には代表の方がいなく、この部分の情報入手はできませんでした。



ソーシャル・エンタープライズで利用されているシステム:


最後にシステムの話です。

ほとんどのベンチャーは2人で立ち上げ、軌道に乗っても社員10人前後です。使っているシステムは Salesforce と Google tools です。システムにはお金をかけれないので、全てが無料ツールでのオペレーションです。正しい選択と思います。