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tetsuyakawahara
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台風の影響で開催が危ぶまれていましたが、本日7月11日、起きてみると快晴に恵まれ、

予定通り六本木のグランドハイアット東京にてSAP Forum Tokyoが開催されました。

今年は「Innovation through Simplification もう一度輝く日本へ。今、シンプル化で革新が始まる」をテーマに、

ITのシンプル化によって複雑化するビジネス環境に柔軟性やスピードをもたらし、いかに企業価値を高めていくか、

SAP社はもちろんスポンサー27社のセッション、展示ブース、またユーザー企業の事例講演を通じて紹介されていました。

写真撮影が厳禁だったので文字のみとなりますが基調講演のSAP社発表内容についてポイントをまとめたいと思います。

始まるにあたってSAPジャパン古濱さんから先月行われたSAPPHIRE Orlandoの簡単な振り返りがありました。

  • 25,000+の現地参加者、125,000+のオンライン参加者、日本からは108名が参加。
    基調講演の同時通訳サービス、SAPジャパン社員による日本語のフォローアップセミナー、
    日本人参加者同士でコミュニケーションがとれるJapan Nightの開催など手厚いサポートを実施
  • キーメッセージは「Run Simple」
  • 無償化されたSAP Fioriに見られるようにコンシューマライズされた新しい体験ができる展示場も
  • 来年は2015年5月5~7日開催、ぜひフロリダで過ごすゴールデンウィークの検討を!

続いて、SAPジャパン安斎社長より開催のご挨拶としてSAPの戦略概要が話されました。

現在ブラジルで行われているサッカーワールドカップではドイツ代表が決勝まで残っていますが、

その強さの秘密の裏にはSAP HANAによる高度な情報分析に基づく準備・戦略立案があると言います。

紹介された動画は「SAP B-Roll CeBIT 2014 - Chancellor's Visit」でしょうか。

  • トレーニングや試合での選手の動きはすべてセンサーや高精細カメラでトラッキングされており、
    そのデータは1試合で4,000万件に上る
  • この大量データのリアルタイム分析結果を監督・コーチ・選手が振り返り・改善に活用することで、
    ドイツチームの目指す短いパスサッカーを実現。一人当たりのボール持ち時間をこれまでの2.5秒から1.1秒まで短縮
  • このシステムはSAP HANA Enterprise CloudとSAP Match Insightsによって実装されている

これまでだとこのような大量データの分析はテクノロジーが障壁となり一般企業では実現が難しいものでした。

SAP HANAの登場により、新しい、ワクワクするITの活用例がどんどん出てきています。

1946年世界初のコンピュータENIACに始まり、1964年IBMから発表されたメインフレームOS/360、

1992年発売のSAP R/3、そしてWindows 95以降のインターネットの発展とITは進化し続けています。

一方で、時代時代で登場した複数のビジネスアプリケーションを適材適所で使っているため、

システム全体を見ると複雑性に拍車がかかっているのが実態ではないでしょうか。

SAPでは、以下の4つのシンプル化により、この複雑性の解消を実現し、お客様企業価値の向上に貢献するとのこと。

  • SAP HANAを単一のプラットフォームとして、すべてのアプリケーションをクラウド上でシンプルに提供
  • SAP Fioriでユーザーエクスペリエンスを統一(利用者)
  • SAP HANAのインメモリーネイティブに最適化されたアプリケーションで刷新(社内)
  • Aribaのビジネスネットワークでサプライチェーンを統一(社外)

安斎社長の話を受けて、SAPジャパン堀田VPからより具体的な紹介がありました。

まず、ビジネス環境の変化として、2020~2030年を見たときの日本のGDPや労働力は減る一方で、

新興国の成長に目を向け、グローバル市場に打って出ないともはや企業の成長はないと説きます。

女性の社会進出、海外の労働力の活用、すべてのヒト・モノがネットワークでつながる大量情報化社会において

どのデータが経営に活かせるのか、その答えを導きだすためには「高度な連携」と「リアルタイム性」が重要となります。

さて、現在のIT環境に目を向けてみましょう。システムはデータセンター、ハードウェア、データベース、アプリケーション、

ユーザーインターフェースの組合せで構成され、さらに独自の販売・生産システム、本社と拠点のERPパッケージ、BIなど

それぞれバラバラで統一されていない複雑なランドスケープになっていないでしょうか。

そのため今のIT投資はシステムの現状維持・運用に72%もとられ、イノベーション創出にはわずか28%しか使われていません。

SAPが掲げるシンプル化では、この比率を逆転させることを目指していると言います。

このシンプル化は上述の通り、SAP HANA、クラウド、SAP Fiori、そしてAribaによる企業内外共通の基盤で実現されます。

2010年にSAP HANAが市場に登場して以来、昨年2013年にはSAP Business SuiteがSAP HANAに対応し、

今年2014年はインメモリーネイティブに最適化されたまったく新しい次世代のERPを発表、

その第一弾となるSimple Financeのデモを交えた紹介がありました。

  • SAP Fiori Launchpadは、良く使うアプリや常に監視しておきたいKPI、ブックマークなどを自由に配置できる
    コンシューマライズされた新しいUI/UXを提供
  • Simple Financeでは、単一のファクトテーブルにすべてのデータが格納されるため、
    トランザクション処理も分析もレポーティングもリアルタイムに行える。
    複数のテーブルを組合せる必要があったこれまでだと、バッチで取込み→総勘定元帳の締め処理→
    バッチで複数システムのデータを統合→BWなどで集計→レポーティング化 と時間もかかり
    古いデータをみるだけだった。Simple Financeなら会計業務の中でドリルダウン分析、影響分析まで行える
  • SAP社内事例として、ERP on DB2のDBサイズ7.1TBがHANAにしたらインメモリーカラムストアの圧縮効果で1.8TBに。
    これをSimple ERPにするとさらに冗長データの削除などができ0.8TBになる見込み。
    また、データベースサイズが減るとバックアップファイルや開発機、テスト機なども同様に削減でき、
    システム全体でみるとより相乗効果が高いことも付け足しておく

中長期のロードマップを描く上で、20年前のSAP R/3時代(1992年)のアーキテクチャのまま更新し続けるか、

SAP HANAに最適化されたSimplified Cloud & Platformに刷新し、シンプル化によるイノベーションの創出に取り組むか、

ユーザーは選択を迫られている時期がきているのかもしれません。