先日の記事「SAP LVM 2.0 ランドスケープ構成設定 - インフラストラクチャ」では、
ランドスケープ構成設定の主にシステムクローン機能で必要な環境周りの定義をしました。
ここでは、監視対象となるSAPインスタンスやサーバーなどを定義するランドスケープの設定を紹介します。
真ん中にある「設定」から設定していきます。プール、システム、ホストを定義します。
まずは「プール」を定義する必要があります。
プールとはこの後に定義するシステムとホストが属する論理的な管理グループです。
リロケーションの範囲や自動キャパシティマネージメントで使用するホスト群など利用用途で使い分けます。
SAP LVM 1.0からの変更としてコンテナとサブプールが定義でき、より柔軟な管理ができるよう拡張されています。
順番前後しますがシステムとホストを定義すると以下のようにプールに属した形になります。
続いて、今回は初回なので先に「ホスト」を定義します。ホストとはSAPインスタンスが稼働するいわゆるサーバーです。
システムもホストも以下のようにSAP Host Agentや仮想化マネージャ、SLDなど多様なソースから引っ張ってこれます。
今回はVMware vSphere環境の仮想マシンを登録するので「仮想化マネージャ」から検出します。
検出された仮想マシンが属するプールをプルダウンから選び保存します。
登録したホストの詳細設定を行うことができます。
オプションのチェックボックスを順に説明すると、それぞれチェックすることで以下が有効になります。
- 「管理」はSAP LVMから管理可能
- 「AC対応」はSAP Host Agent経由でサービスのマウントなどの許可
- 「オペレーショナル」はインスタンスの起動など操作の許可
- 「分離準備可能」(英語だとIsolation)はシステムクローンのFencingの許可
- 「ACM管理」は自動キャパシティマネージメントの稼働サーバーとして許可
この設定が完了すると「作業」=>「ホスト」からサーバーを一元管理することができるようになります。
最後に「システム」を定義します。
今回はまだSAP LVMしかSAPシステムがないのですが、ホストとインスタンスエージェントを使用して検出します。
ここでの留意事項ですが、SAP Host AgentはWebサービスとして呼び出す必要がありますので、
SUMの記事で紹介したようにPAMなどセキュリティ設定をあらかじめ正しく行っておく必要があります。
このようにSAP Host Agentからデータベースインスタンス、SCS、CIを自動的に検出してくれました。
登録したシステムの詳細設定を行うことができます。
システム全体の定義ではクローニング対象とするかなどのチェックボックスがあります。
- 「クローニング」はSIDそのままの複製を作成するシステムクローニング
- 「NZDM-EP」はSAP LVM 2.0の新機能ですね!EPのEHP適用などメンテナンスをほぼダウンタイムなしで実行可能なnZDM
- 「コピー」はSIDを変更した異なるシステムを作成するいわゆるシステムコピー
- 「名称変更中」はSIDなどを変更するシステムリネーム
- 「アプリケーションサーバの(アン)インストール」はDIの追加・削除を行うシステムプロビジョニング
各インスタンスの定義はSAP Host Agentからの検出で情報は概ね入力されています。
Adaptive EnabledのSAPインストールがされたシステムの場合は仮想ホスト名とネットワークも正しく認識されます。
また、Storage basedのシステムクローンを行う場合はストレージのボリュームコピー機能(NetAppだとFlexClone)の
対象先ボリュームであるマウントポイントを定義しておく必要があります。
この設定が完了すると「作業」=>「システム」からSAPシステムおよびインスタンスを一元管理できるようになります。
「概要」=>「ダッシュボード」から、登録したシステムやホストの稼働状況がFlashベースのビューで確認できます。