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SAPは、ITも工場のオペレーションの様に、根本原因に手を入れ、未然に危険の芽を摘み取って行けば、自動化は可能と考え、予防的保全を提唱しています。そのキャッチフレーズを “Run SAP Like a Factory" と言って、Solution Managerを基盤とした高度にオートメーション化されたITの運用管理を目指しています。

ちょうど今年10月中旬にラスベガスで開催されたSAP TechEdのALM107というセッションにて制御機器製造大手のロックウエル・オートメーションが発表した事例が非常にこのコンセプトに近い最新事例でしたのでご紹介したいと思います。ちなみにビデオとプレゼン資料は下記より入手も可能です。

http://www.sapvirtualevents.com/teched/sessiondetails.aspx?sId=3389

ロックウエルオートメーションと言えば、日本では同業が三菱電機、ドイツではシーメンスで、制御機器の分野ではこの3社が世界のTop3。他に日本で制御危機と言えば横河電機や、安川電機、山武なども得意とする分野です。2005年より数百の分散システムを1つのERP中心にまとめるプロジェクトを開始し、今ではSCM、SRM、CRM、GTS、NWなど多数のランドスケープでお使い頂いています。

ただ、これだけ多くのSAPソリューションになると、ERPとCRMとGTSの間のマスタ、トランザクション整合性を取ってスムーズにプロセスを流すというのが意外に難しかったりします。一体誰が悪いのか原因が分からないデータ整合性の不具合、プロセスの滞留、それが原因で思わぬ顧客サービス低下、ユーザーの不満爆発などを招いていました。

プロジェクトに当たり次の項目を実行したそうです:

1.ビジネスプロセスの滞留・課題を見つける Business Process Monitoring

2.ビジネスインパクトを最小化するための Busines Process Analytics

3.クロスデータベース(マスタ・トランザクション)比較

4.インターフェースやJobスケジュールモニタリング

5.ユーザーExperienceモニタリング(ユーザの立場に立った満足度モニタ)

1.ビジネスプロセスの滞留・課題を見つける Business Process Monitoring

ここではボトムアップアプローチと称して、実際起こったトラブルや、伝票の不具合などインシデントから原因分析をし、トラブルの芽をつぶしていったプロジェクトのアプローチです。各種登録されたインシデントの分類より積み上げて行く意味でボトムアップアプローチです。

2.ビジネスインパクトを最小化するための Busines Process Analytics

もう1つは、ビジネス上の重要指標 リードタイムや、欠品防止率などから、それに影響を与えるKPIを設定し、SolMan上でモニタリングする仕組みです。なるべくSolManでプリセットされた数百のデータ取得ポイントより指標を取った仕組み作りです。

3.クロスデータベース(マスタ・トランザクション)比較

マスタ、トランザクションの不整合の問題は非常に厄介で、どの部門も自分達のせいでとは思わず、ただ、当事者が苦労するというちょうど誰も想定しなかった谷間の課題です。この不整合を集中的に分析しました。 4.のインターフェース、Jobスケジュールモニタも発想は同じで、システム間にまたがる課題の全体を俯瞰した目でモニタする仕組みを整備するプロジェクトです。

5.ユーザーExperienceモニタリング(ユーザの立場に立った満足度モニタ)

これは少しユニークなアプローチで、SolManで用意されているロボットという、あるユーザーのオペレーションスクリプトを情報としてリモートから入手してくる仕組みで、この事例ではシンガポールなど遠隔地のユーザの実際のレスポンスタイムをモニタして、ユーザー満足度の指標とする試みが紹介されていました。下記が地域、トランザクション毎にレスポンスタイムの状況をモニタした画面です。

この他にも、何度もオペレーションの失敗を繰り返しているユーザ、トランザクション、ケースなど異常の検出、危険の察知には役立つのではないでしょうか。

こういった、課題を能動的に発見しに行く・危険の芽に早くたどり着き、深刻なトラブルになる前に課題を解決する、予防保全的アプローチが自動化運用の要ではないかと思いました。ビデオ、資料ももっと詳しく上記リンクにありますので是非ご覧下さい。

SAP Global Upgrade Office 木下史朗