本日12月5日、半蔵門SAPジャパンビルにてJSUG 6th FOCUSが開催されました。
2012年は『SAPを深く正しく知り、いままでとちがうやり方で新しい価値を生む』をテーマに活動してきましたが、
今年最後のSAPユーザー会のイベントとして、総まとめとしての活動の振り返りや次年度に向けた議論、
SAPPHIRENOW/SAP TechEdフィードバックといった最新情報発信など、各部会が一堂に会し行われました。
テクニカル部会も3セッションを担当し、一つ目は部会全体としての活動報告、
二つ目はSAPジャパンによるSAP TechEd Bangaloreからの最新情報フィードバック、
三つ目はSolution Manager 研究WGからALMの最初の一歩である文書化についての発表でした。
ここでは二つ目のセッション、SAP最新技術情報についてポイントを整理します。セッションタイトルが
『SAP TechEd Bangalore Feedback from SAP ~ 最新情報解説はSAP Japanにお任せください ~』と、
非常に挑戦的な、とても期待できる(したい)ものとなっています。
90分のコマで、大きく「クラウド」「HANA」「モバイル」の3つについて、それぞれ30分ずつお話がありました。
1. SAP Cloud Strategy & NetWeaver Cloud
講師: 山澤雅史さん(SAPジャパン)
まずは一般的な市場動向として、クラウドの必要性・重要性は皆様ご承知の通りかと思います。
クラウドはもはや今後のIT戦略と切り離せないもので、当然SAPとしてもこの領域で提供・展開していきます。
クラウドにはSaaS、PaaS、IaaSとそれぞれサービス、プラットフォーム、インフラを提供する形態がありますが、
SAPでは特にSaaS/PaaSの領域を担い、IaaSの領域はパートナーに任せる戦略を取っています。
また、既存資産を無理にクラウドに移行させようというわけではなく、
追加要求、新機能要件などを実現する際のエクステンションとして、また海外展開の新規構築時など、
導入効果・コストにメリットを見出せる場合に採用頂くハイブリッドな利用を基本方針として推進しています。
具体的な製品ポートフォリオとしては以下に分けられます。
- SaaS:
スイートを提供するもので、LoBクラウドソリューションとしてアプリケーションを推し出していく領域。
People(SuccessFactors買収)、Customers、Money、Supplier(Ariba買収)の4つのファクターで価値を提供- Business ByDesign
- Business One Cloud
- XXX OnDemand
- ...
- PaaS(HANA Cloud):
HANA Cloudは製品ではなくブランディング、コンセプト。HANAを基盤とした開発環境、実行環境を提供- HANA AppServices: SAP NetWeaver Cloud
- HANA DBServices: AWS上でインメモリーデータベースを利用できるSAP HANA One
この中でSAP NetWeaver Cloudについての詳細な説明がありました。
SAP NetWeaver Cloudは一言でいうとHANAを土台とした次世代のインメモリーネイティブなJava開発環境です。
開発と管理においてそれぞれ以下の特徴があります。
- 開発
- 使い慣れたEclipseベースのSDKをクライアントに導入
- デプロイ先(データのパーシステンシー領域)が高速なクラウド上のHANA
- オンプレミスとのシームレスな連携を実現するConnectivityサービス、認証を司るID管理
- HANAを活用しているため構造化だけでなく非構造化データにも対応
- 管理
- SAPによる24x7のサポート、システム監視
- 使用状況のレポーティング
- サービス提供後のエラー解析のための詳細なロギング
実際のビジネスフローは以下のようになります。
- アプリの構築と実行: SCNユーザーが有れば無償。申請して数分で利用可能
- アプリの販売: SAP App Storeで公開
- アプリの購入と利用: SAP App Storeで購入。設定後すぐに使用可能
実例として既に提供開始済みのSAP NetWeaver Cloud Portalの紹介がありました。
これはウェブサイトの容易かつ迅速な構築を可能とする基盤を提供するサービスのようです。
詳細は、http://scn.sap.com/community/netweaver-portal/cloud をご参照ください。
今後の予定として、PIOD(Process Integration On Demand)、DSOD(Data Services On Demand)など
システムをつなぐ、データをレプリケーションする機能もクラウドソリューションとして提供することで、
オンプレミスの既存資産とこのNetWeaver Cloud上で開発したサービスもしくはSaaSアプリケーションを
連携させたハイブリッドクラウド環境の実現が視野に入っているとのことで、非常に期待が高まります。
長くなりましたのでHANA、モバイルのパートについては次回とさせて頂きます。