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tetsuyakawahara
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6月6日大阪、6月12日東京に続いて7月26日名古屋でもSAP Forumが開催されました。

当方も併設のJSUG(ジャパンSAPユーザーグループ)中部フォーラムの

テクニカル部会パネルディスカッションで登壇のお声が掛かったので朝から新幹線に乗って参加してきました。

SAPジャパンとしても久々の東海地区での大型イベントだったためか、気温36度の暑さにも関わらず、

なんと歩留まり78%(たしか400名集客なので300名超!?)の来場者と非常に盛況でした。

SAPジャパン安斎社長、ソリューション統括本部・脇坂本部長の基調講演から始まったSAP Forum Nagoya。

特別講演は「名古屋よ世界へ!」と題して、一橋大学の米倉誠一郎教授からイノベーションについて

深く考えさせられるお話を伺いましたので、ここでは特に印象に残った点を中心に紹介したいと思います。

シュンペーターの「馬車を何台繋いでも機関車にはならない!」という言葉をとって

イノベーションの必要性を説くところから話は始まりました。

イノベーションというのは技術革新がなくても既存のものを活用してアイデア次第で起こすこともできると、

FedEx創業者のフレッド・スミスが学生時代に考案したハブシステム(ハブ&スポーク戦略)を例に説明し、

この意識を持っているかいないかで大きく変わってくると強く訴えます。

続いて、高齢化による内需減少に対しては、視点を変えればマーケットはまだまだ生み出せると、

発想の転換について以下の3つの例を紹介していました。

  • 女性向け商品と思われていたパックを黒くすることで男性の市場を開拓
  • 居酒屋に購買力の強い女性を呼び込む女子会という流行戦略
  • メガネをかけない(視力の悪くない)人をターゲットにしたJINSのPCメガネなど

また、日本の国民総支出約500兆円のうちなんと6割の300兆円が消費であり、

「魚のいない釣り堀で魚は釣れない」と、流通チャネルの見極めの重要性を説きます。

若者にモノが売れないと嘆くのではなく、本屋には行かないがコンビニには通う若者に本を売るには

どうすればよいか考えようということのようです。

さらに話は続きます。戦後の復興を題材に、パラダイム・チェンジ(思考の切り替え)について。

戦前、戦後で日本を取り巻く環境に変化がない中で以下の視点で課題を捉えなおしたことがポイント。

  • 資源がなければ輸入すればよい
  • 島国は各地にアクセスポートを持つ最適ロケーションである
  • 過剰人口は大きなマーケットと豊かな労働力と考える

終戦時の井深大39歳、盛田昭夫24歳、本田宗一郎39歳。彼らは大きな時代観を持ち決断力が成果を上げた。

川上から川下の流れを見極め、川上に立つことが大事とのことです。

そして、「ビジョンに根拠はいらない。困難だからやるんだ!」と、ケネディの宇宙開発のビジョンに共感した

当時のNASAの中心メンバーは26~28歳の若者だったというアポロ計画の逸話から、

ビジョンの実現には根拠やリーダーが必要なのではなく若者たちのやりたいという情熱が重要であり、

そしてカリスマの登場を待つのではなく個々のプロフェッショナルが大切だという話に。

松下幸之助の「3%のコストダウンは出来ないが30%なら出来る」という言葉を引用しつつ、

3%だと今までの延長で考えてしまうが30%ならイノベーションが起きる、

過酷な目標こそがイノベーションのチャンスであると熱く語り講演は大詰めを迎えます。

最後に、「インドのタタ・ナノの2000ドル(約15万円)の車に乗ったことがあるか?」と聴衆に問いかけ、

車に誇りを持つ日本人が良く持つ印象は「どうせオモチャでしょ?」と。はじめからバカにしないで、

どうすればこの価格で出来るのか、なぜなにどうしてと知的好奇心を豊かに持とう。

名古屋から世界へ羽ばたこう!と話が締めくくられました。

以上が特別講演の内容紹介となります。

米倉教授の話は何度か聞いたことがあるのですが、今回も相変わらずの聴衆を巻き込むスタイルの

たまに毒舌で(!?)非常に面白く聞きごたえのある、かつ多くの気づきを貰えるものでした。

ちなみに本当の最後の最後にほんのちょっとだけSAPのことを褒めていましたよ(笑)