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4月11日付けSAP AG ニュースルームの記事に、将来目指すクラウドアプリケーション像を占う上で比較的まとまった記事がありましたので日本の皆様にもお届けしたいと思います。 筆者は、SAP AGクラウド共同研究チームVPのSven Deneckenで、On Premise、Cloud、In-Memory技術、モバイル技術などの特徴・課題・可能性をお客様との共同研究の議論の現場より要約したものです。

なお、この日本語は原文記事(http://www.news-sap.com/when-to-stay-on-premise-and-when-to-go-into-the-cloud/)の約8割の分量で、木下史朗 個人によるものです。

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ユーザー企業様とのクラウド共同研究チームのリーダーとして、私は数多くのユーザー企業のイノベーションリーダーの方々と議論が出来る特権があります。以前は、オンプレミスでも同じような役割を担っていましたが、両者は、アプローチの面で全く違うと言っていいでしょう。オンプレミスが飛行機を作るものとすると、クラウドは宇宙ステーションを設計していくイメージでしょうか。両方の技術的課題を明らかにしていくことによって、ユーザーとしてどういう選択をしていくのが正しいのかの判断の一助になるものと考えます。

まず最初に分析アプリケーションの話からスタートしましょう。オンプレミスの世界では、ERPの他にBIにて実に様々な分析技術が発達してきました。 但し、課題は、ERPの他にBIという別のアプリケーションを持つ必要があり、それらは決してリアルタイムでは同期されないという事です。 クラウドでBIのサービスの可能性を考えてみると、BI機能がクラウドサービス上に埋め込まれているだけではなくて、分析ポイントや予知的な分析ノウハウまで埋め込まれた形でクラウドソリューションを活用する事が可能で、Push型でのワーニング、予知情報までをクラウドサービスに埋め込まれたサービスとして得るということも可能になってくる点です。

インメモリの様なデータベーステクノロジのイノベーションは、情報分析に新たな可能性を生みます。 オンプレミス、クラウド両方で、インメモリ技術を活用するようになっており、大幅な時間の短縮につながっています。 しかし、この技術の大きな可能性とは、単に劇的な速さを得るだけでなく、これまで通常では時間的にも無理だった、内部洞察を大いに含んだ課題の解決をできる点にあります。

別の言い方をすると、インメモリデータベースでクラウドソリューションの開発をするという事は、何がビジネス上有効なクエリになるか差別化が可能という点で、劇的に今までと違うフレーム上のアプリであると言えます。 日本のトラフィック最適化事例を例に取りましょう。ビーコン付きのタクシーはリアルタイムの交通状況をフィードバックします。それにより中央のコントロールセンタではより空いているルートを指示します。 インメモリデータベースによる劇的なスピードを適用する前は、大きなタイムラグが発生していました。故障車や代替ルートの分析がされるまでは、待ち時間がどうしても発生し、実際指示出された時にはすでに使用されてたり、代替ルートに過重な負荷がかかってたりしていました。

次にモビリティです。スマートフォーンによるユビキタスに近いネットワークへのアクセスを可能にする技術は、また別の可能性を秘めています。 マネージャの承認作業を例に取ります。 マネージャーの承認作業は、どこにいてもいつででも可能なスマートフォーンアプリを念頭に開発できます。 オンプレミスのバックエンドシステムの場合は、デスクトップ型の業務を念頭に置いたロジックなため、スマートフォーンに無理やり合わせるやり方を検討しないといけないという課題が発生します。 クラウドアプリケーションの場合は、全く別のアプローチを取る事になります。まずスマートフォーン、タブレットPCに合ったプロセス設計を最初から行えます。

ITでのコラボレーションも仕事のやり方を劇的に変えます。 例えば、過去emailやオンラインカレンダーなどのグループウエアは、どれほど仕事の仕方を変えた事でしょうか。 オンプレミスアプリケーションの場合も、例えば製造ラインや業務上の何かの異常によりemailやSMSを通じたワーニング・緊急連絡など、これらの技術を使ってきました。 クラウドアプリケーションの場合は、ソリューションの中に埋め込まれたり、個人の役割に応じてセットした、新たな劇的なコラボレーションを可能にします。 例えばフィードなどはいい例でしょう。 ある営業担当がある顧客名をキーワードとした情報を瞬時に全て得て対応を可能にしたりします。 言い換えれば、ただ情報を待つのではなく、納期が遅れそうという予知情報により先手先手で対策を打ち、顧客満足度の維持向上につながる行動を可能にするのです。

コラボレーションやモバイルは、IT技術が人中心(People Centric)への移行というトレンドの例です。 アプリケーションの開発もプロセスから、人中心になると思います。 言い換えれば、オンプレミスアプリケーションは、限られた数のパワーユーザーがプロセスの統合を保証するという前提で開発されて来ました。 今日、期待値としては、全ての人がエンタープライズのクラウドアプリを事前トレーニング無しで使い、しかもそれでもプロセスの統合連携はちゃんと確保されているという点だと思います。 オンプレミスアプリケーションは、コピー&ペースト、ドラッグ&ドロップなどの新たなUI技術で操作性の向上を図れますが、裏のロジックについての変更にはコストがかかります。 データベースの各フィールドに応じたロジックが多数実装されてプロセスが組み立てられていると、エンドユーザーはデータ入力事務作業を強要されている感覚を受けるでしょう。 多くのユーザーがトレーニングの必要無く、不満無く使うためには、よりユーザー中心のアプローチが必要です。 デジタル技術に慣れた人々は技術を喜んで使うでしょうけど、それはその人達の高い要求水準に合致した際の話です。 より直観的で、役立って、効果的な事が必要です。 従ってクラウドソリューションというのは、よりエンドユーザーのニーズの支援に大きな労力が注がれる訳です。 人中心のデザイン志向がより人々の共感を呼び、絵コンテなどもプロセスの統合・完了の設計だけでなく、エンドユーザーの不満・疑問を解消するためにこれからは数多く使われる事でしょう。

最後に、イノベーションのスピードという論点があります。 オンプレミスのアップグレードは、従来はビジネスの中断を伴うので2年~5年に一度の実施というのが常識でした。 言い換えれば、オンプレミスアプリケーションに新しい機能が追加されても、ユーザーにその価値が還元されるまで2年~5年がかかるというのが常識でした。 それとは対象的にクラウドソリューションの場合は、イノベーションがすぐに使われるのが特徴的です。 ユーザー中心のアプローチによりトレーニング無しの直観的に使える機能が増える事が想定されます。 1度のアップグレードによって全てのユーザーの使う機能が変わる訳です。 開発手法の変化により実際に使用されるまでの期間の短縮も、オンプレミスともども短縮化が図られています。

クラウドには数多くのメリットはあるものの、オンプレミスが企業のアプリケーションにとって重要な地位であり続ける事は変わらないでしょう。 既にグローバル展開が完了しつつある企業では、オンプレミスアプリケーションにかけるコストは投資・運用とも非常に縮小してきています。 新しい時代のニーズがオンプレミスでよっぽど要件を満たせなくならない限り、オンプレミスは堅牢で、コスト的に優れたアプリケーションです。 さらに、クラウドとのハイブリッドな展開によって、オンプレミスの寿命もさらに延びるものと思います。 クラウドソリューションが最も有効なのは、従来のソリューションがビジネスに合わなくなる時か、もしくは全く新しいビジネスのニーズが生じる時です。 どちらのパラダイムがより有効になるにせよ、1つだけ明確な事があります。新たな技術トレンドによりCo-Innovationの時代が来ているということです。

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